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胎児の心疾患 エコー画像で迅速診断 岡山大病院 遠隔医療ネットワーク

送られてきた胎児の心臓エコー画像で診断する大月准教授=岡山大病院

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は、連携する病院からリアルタイムで送信される胎児の心臓エコー(超音波)検査画像で、心室中隔欠損症(心室の壁に穴があく疾患)などを診断する遠隔医療に取り組んでいる。生命にかかわる先天性心疾患をいち早く察知し、迅速な治療につなげる。

 岡山県北部などで深刻化している小児科医不足を補う医療方法として注目されており、同大病院は「世界的にも例がないのでは」としている。

 「胎児の心エコー診断ネットワーク」事業として2008年にスタート。連携する医療機関と光ファイバーで結び、送られてきた画像で大月審一小児科准教授ら同大病院の専門医が診断、治療方針を助言する。

 現在、ネットワークに参加するのは津山中央病院(津山市)と岡山愛育クリニック(岡山市中区倉田)。診断は妊娠18週以上の胎児から可能で、通常は10分ほどで済む。

 合併症などで胎児や母体に危険が及ぶと判断される場合には同大病院に救急搬送して治療。出生後に問題になる恐れのあるケースなら、分娩(ぶんべん)を引き受け、産後すぐに対応する。

 同大病院は既に新生児でも同様の遠隔医療を8病院と実施。胎児、新生児の診断ネットワークを進める背景には、産科医や小児科医の都市部への偏在、小児循環器の専門医が少ない実態がある。

 大月准教授は「限りある人材を効果的に生かせる。妊婦の移動が少ないのもメリット。多くの医療機関と連携し、病気で苦しむ子どもたちを救いたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年11月15日 更新)

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