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岡山大教授ら C型肝炎治療薬、機能解明 「リバビリン」 特殊酵素の働き抑制

加藤宣之教授

森京子研究員

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の加藤宣之教授(腫瘍(しゅよう)ウイルス学)と森京子研究員(同)らのグループは、C型肝炎治療に使われる抗ウイルス薬「リバビリン」が特殊な酵素の働きを抑制していることを突き止めた。同薬のメカニズムはこれまでよく分かっておらず、今回の解明は、副作用の少ない新たな創薬につながる成果と期待される。

 ウイルスを減らすリバビリンは、インターフェロンと併用することでC型肝炎ウイルス(HCV)の除去率が大幅に高まることから現在、C型肝炎治療は併用が主流。だが、リバビリンには貧血などの副作用があり、激しければ投薬量を減らしたり、治療を中止したりすることもある。

 研究グループは、副作用の少ない特効薬開発にはリバビリンの解明が不可欠として4年前、研究に着手。リバビリンが、人間の細胞が生きていくために必要な核酸の一種・グアノシン三リン酸を作り出す酵素の働きを弱めることで、HCVの増殖を抑制していることを確認した。

 HCV研究に使える細胞株はこれまで、同大開発の「HuH―7」だけだったが、他の細胞株の中から国立がんセンター開発の「Li23」がよりリバビリン解明に適していることを見いだし、今回の成果につながった。

 研究では、加藤教授らが特殊な遺伝子を組み込むなどして2005年に独自開発したHCV検出方法(特許取得)を活用。国内外のウイルス学会で成果を発表した。

 加藤教授は「まだ、すべてのメカニズムが解明されたわけではない。一層研究を進め、HCVの特効薬作りに寄与したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年12月07日 更新)

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