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第23回 岡山県精神科医療センター 子どものケア “大家族”の中で成長促す

入院棟のクリスマス会に向けて出し物の練習をする子どもたち=昨年12月

塚本千秋副院長

大重耕三医長

 中学生以下の専門施設として外来とは別に、児童思春期入院棟を昨年四月に開設。全十六床で、児童相談所や児童養護施設などから紹介されてきた子どもたちが過ごしている。

 発達障害や強迫神経症、統合失調症といった精神疾患に加え、虐待など複雑な背景を抱えた場合も多い。医師三人、看護師十四人、心理士一人、精神保健福祉士一人の比較的手厚い体制でかかわる。

 「治療という面だけでなく、子どもの発達も考えないといけない」と塚本千秋副院長は指摘。面接のほかに、おもちゃや遊びを通して接したり、買い物やキャンプ、クリスマス会なども行い、大家族的な雰囲気の中で成長を促すような体験を重ねていく。

 学習機会を保障するため、病院から近い鹿田小、桑田中の院内学級も設置。朝起きて“登校”し、夕方部屋に戻り、食事、入浴し、就寝するというサイクルを守る。

 ただ、問題は採算面。診療報酬が低いため、入院棟単体では赤字運営が続く。全国でも同様の施設は二十カ所しかない。

 「子どもの場合は児童相談所、家庭など関係先との調整に手間も時間もかかる」と同入院棟の大重耕三医長。「子どもは発達途上で大きく変わる可能性があるだけに、じっくりかかわれる体制が課題」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年07月22日 更新)

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