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冠静脈内のNO濃度測定 ヒトで世界初  川崎医福大グループ臨床成功 動脈硬化、正確に診断

後藤真己客員教授

 川崎医療福祉大の後藤真己客員教授(循環器内科・医用工学)らの研究グループは、冠静脈内のNO(一酸化窒素)濃度を測定する臨床研究に成功した。独自開発した特殊なカテーテルを使用し、ヒトへの応用は世界で初めて。ヨーロッパ心臓病学会誌の電子版に5月下旬掲載された。

 血管疾患に関係するNO濃度を数値化できるようになり、動脈硬化などの確定診断や治療効果の判定、新治療法の創出につながることが期待される。後藤教授は「この測定法が普及するよう各方面に働き掛け、動脈硬化の早期発見、治療に役立てたい」としている。

 NOは血管の内皮細胞から分泌され、血管を拡張する作用がある。後藤教授らは2003年、心筋梗塞(こうそく)などに進行する動脈硬化などの診断につなげようと、NO濃度を血管内で測れる電極(長さ1センチ、直径0・7ミリ)をカテーテルの先端に付けた装置を開発。NO研究でノーベル賞を受賞した米ルイス・イグナロ教授から助言を受け、血管を傷つけない形状に加工するなど改良を重ねた。

 07年からは和歌山県立医科大循環器内科と共同で臨床研究。拡張型心筋症患者10人、動悸(どうき)などで心臓カテーテル検査が必要な患者10人の冠静脈内のNO濃度測定に取り組んだ。

 通常の心臓カテーテルと同様に脚の付け根から挿入。心臓の冠静脈まで進め、7分間にわたってNO濃度の変化をとらえることができた。

 従来は造影検査や血流から血管の状態を推測するなど、動脈硬化の状態を正確に診断することは困難だった。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年06月06日 更新)

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