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精神障害者の地域生活移行を支援 本年度から岡山市 退院相談や住宅確保

 岡山市は本年度、退院可能な精神障害者が病院から地域生活へ移行するのを支援する事業を始めた。社会福祉士などが入院者と面談して退院意欲を高めたり、住宅確保により、地域で生活できる環境を整える。退院後は精神科医らのチームが心のケアなどに努める。

 県が担っていた事業だが、国の関連要綱改正で本年度から政令指定都市でも行えるようになったため、市こころの健康センター(北区鹿田町)を拠点に取り組むことにした。

 計画では、社会福祉士などの資格を持つ「地域移行推進員」が病院を訪れ、障害者と面談して退院意欲を向上させる。NPO法人「おかやま入居支援センター」(北区春日町)と協力して退院後の住まい確保を支援する。経済的支援が必要な場合は生活保護などの手続きを進める。推進員は4月から1人が活動。近く2人に増やす。

 地域で暮らし始めた障害者には、精神科医や看護師でつくるチームを派遣。引きこもり、迷惑行為があった際などに病状を把握したり、生活相談に応じる。近隣住民には説明会などを開き、共生への理解を得るよう働きかける。10月をめどに3チームを発足させ、地域ごとに活動する。

 国は2004年度にまとめた精神保健医療福祉改革ビジョンで、地域での受け入れ基盤の不十分さなどにより、全国で約7万人にのぼるとされる退院可能な“社会的入院”の解消を基本方針とした。

 これらを受け、岡山市の障害福祉計画(06―11年度)でも、退院できる精神障害者464人(推計値)のうち約8割に当たる388人(同)を地域生活に移行させる目標を掲げている。

 市こころの健康センターは「障害者一人一人としっかり人間関係を築いて地域生活への移行を支援したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年07月14日 更新)

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