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岡山県内100人超 増える認定看護師 専門志向の高まり背景 医療機関側も支援充実

県内で増える認定看護師。今年は岡山医療センターの鳥越さん(左)ら21人が新たに誕生した

 岡山県内で、高い知識と技術を備えた認定看護師が増えている。専門志向の高まりを背景に、今年は過去最多タイとなる21人が合格し、総数が101人と初めて三けたの大台を突破した。看護レベル向上のため、大病院を中心に医療機関側もバックアップ体制を充実させており、専門性の高い人材を養成する取り組みが広がっている。

 認定看護師は特定分野のスペシャリストとして実践・指導・相談の三つの役割を担う。5年以上の実務経験者が6カ月以上の研修を経て、初めて毎年5月の認定審査に受験できるなど資格取得のハードルは高いが、岡山市立市民病院(同市北区天瀬)の小野まさ子看護部長は「医療のレベルアップに欠かせない存在」と指摘する。

 県内では「皮膚・排せつケア」と「救急」の分野で1998年、計2人が初めて合格。その後、数年間は伸び悩んだが、2007年が13人、08年が10人、09、10年が各21人と徐々に増加し計101人。その分野は全19のうち「感染管理」「集中ケア」など16分野にわたる。

 中でも今年は「脳卒中リハビリテーション」と「手術看護」の2分野で初の合格者が計4人誕生した。脳卒中リハは岡山市立市民病院の梅田みちるさん(42)と国立病院機構岡山医療センター(岡山市北区田益)の鳥越俊宏さん(30)、倉敷中央病院(倉敷市美和)の高岡将治さん(27)。手術看護は同病院の植田優子さん(35)。

 脳卒中リハの3人は「患者さんの後遺症はさまざま。障害の程度を見極めながら、その人に合った看護を今後も実践したい」。手術看護の植田さんも「患者さんの不安が和らぐよう手術前から積極的にかかわりたい」と意気込む。

 認定看護師を目指す際、岡山医療センターや倉敷中央病院といった大病院は研修中の給料や授業料などを支援。県看護協会の祇園寿恵子常務理事は「病院側のバックアップ体制が充実していることも認定者が増えている理由」と話す。

 一方、ネックもある。研修期間が長期にわたるうえ、県内には認定看護師養成の教育機関がないため、勤め先の病院を辞めて研修を受けたり、受けたい人でも育児中など家庭の事情であきらめる場合もあるという。

 病院側の人手事情もある。県南部のある中小病院のトップは「認定者が増えるのは歓迎するが、当院も看護師不足が深刻化している。貴重な戦力が長期間不在になるのは痛手」と打ち明ける。

 こうした中、県立大(総社市窪木)は「糖尿病看護」、山陽学園大(岡山市中区平井)は「皮膚・排せつケア」の分野で教育機関を11年度から設置する計画だ。

 機関設置に協力する県看護協会の山谷冨美枝会長は「県内全体の看護レベルの底上げに向け、今後も各医療機関のニーズを踏まえて具体的な支援策を検討していきたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年09月24日 更新)

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