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女子中生らの子宮頸がんワクチン接種 自治体と学校、普及に温度差 性教育の壁、連携急務

 女子中学生らへの子宮頸(けい)がん予防ワクチン接種をめぐり、普及を図る自治体担当部局と、性教育を含む知識啓発に消極的な教育現場の間に温度差が生じている。生徒にワクチンの有効性を理解してもらうには性教育が不可欠。正しい知識の啓発に向け、両者の連携が課題となっている。

 厚生労働省の統計では、年間約2500人が子宮頸がんのため死亡。20~40代の女性のがん発症率ではトップという。ワクチン接種で約7割が予防できるとされるが、高額(4万~5万円)なため普及が進まず、全国の自治体が相次いで公費助成を打ち出し、後押ししている。

 10代前半での接種が効果的とされ、県内では本年度、和気、奈義、新庄など8町村が女子中学生を対象に独自の助成事業をスタート。岡山市は来年1月から、中学1年0高校1年の接種無料化の方針を示している。

 ただ、これら自治体の多くが教育委員会の協力を得られていないという。担当者からは「学校での説明会開催が難しかったので、保護者のみの説明会とし、生徒への説明は家庭に任さざるを得なかった」「生徒への資料配布を学校に断られた」などの声が聞かれる。

 感染経路が性交渉に限られるため性教育とは切り離せないが、学習指導要領は中学校で「受精」「妊娠」を教え、高校で初めて「性交渉」「避妊」を扱うとする。教育現場には、この指針を根拠に「中学校で教える範囲を超えている」との認識が強いという。

 県教委保健体育課は「学校現場が現状に追い付いていない。医学的な知識の習得や性教育の在り方など行政、学校、医療従事者が連携できる仕組み作りを急ぎたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年12月03日 更新)

タグ: がん健康女性医療・話題お産

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