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重い皮膚病 iPS細胞で治療 岡山大倫理委基礎研究承認 年明けにも着手

青山裕美講師

 岡山大倫理委員会は21日、特定疾患に指定されている重い皮膚病について、新たな再生治療法の基礎研究を承認した。人工多能性幹細胞(iPS細胞)から皮膚細胞を作り出す「日本初の試み」(同大)で、年明け早々にも着手する。

 対象となる疾患は、全身の皮膚がうろこのようにひび割れたり、肌に水疱ができる「水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症(すいほうがたせんてんせいぎょりんせんようこうひしょう)」。軟こうや保湿剤を塗ってガーゼで保護するなどの対症療法しかない。原因は遺伝子の突然変異とされ、患者数は全国で約100人と推定されている。

 研究は同大大学院医歯薬学総合研究科の青山裕美講師(皮膚科学)らのグループが申請。計画では患者の病変部分の皮膚細胞を採取し、山中伸弥京都大教授が開発した4種類の遺伝子を導入する方法でiPS細胞を作製する。遺伝子組み換えで正常なiPS細胞に修復、さらに特殊な条件下で、病気を持たない皮膚細胞を作製する。将来的には、その皮膚を患者に自家移植して治療することを目指す。

 再生治療と同時に、病気の遺伝子情報を持ったiPS細胞を分析。異常のある遺伝子の発生抑制や有効な治療薬の開発も試みる。

 iPS細胞の作製は山中教授の共同研究者である岐阜大大学院医学系研究科の國貞隆弘教授が行う。

 青山講師は「3年以内に正常な皮膚細胞を作り、動物実験に入りたい。今回の治療法が確立できれば、他の皮膚病への応用も期待できる」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年12月22日 更新)

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