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マラリア薬 臨床試験へ 開発の岡山大ガーナで 20年実用化目指す

綿矢有佑教授

 岡山大は、大学院医歯薬学総合研究科の綿矢有佑教授(薬学)らが開発したマラリア治療に有効とみられる新薬「N―251」の臨床試験をアフリカのガーナ大付属病院で、同大と共同で行う。マラリアは既存薬に耐性を持つ原虫が確認され、現地では新薬への期待が高まっており、早ければ2013年にも着手し、20年ごろの実用化を目指す。

 マラリアは蚊の媒介で原虫が血液に入り、高熱を引き起こす。アフリカ、東南アジアなど熱帯地方で多く発生し、年間100万人以上の死者が出ているほか、世界保健機関(WHO)が09年、既存薬アルテミシニンに耐性を持つ原虫を確認したと発表している。

 N―251はアルテミシニンに化学構造が類似した炭素や酸素の化合物。綿矢教授らのチームは07年、マウス実験で効果を確認。09年にはアルテミシニンが効かないマラリア原虫を死滅させることにも成功した。ラットやイヌによる安全性試験の結果も良好という。

 岡山大は08年にガーナ大と交流協定を結んでおり、10年11月、新薬に期待するガーナ大が臨床試験の共同実施に合意。計画では、マラリア薬を承認する米食品医薬品局(FDA)に11年中に臨床試験の実施を申請し、ガーナでは13年から約6年かけて100~500人と、千~5千人を対象に2段階で行う。

 岡山大はタイ、インドネシアの大学とも合同の臨床試験を準備中で、綿矢教授は「ガーナをはじめ複数の地域で臨床試験を行えば、さまざまなタイプのマラリアへの効果を確認できる。アルテミシニンに代わる薬として早期に実用化し、国際貢献につなげたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年01月19日 更新)

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