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救急電話相談 医療体制強化狙う 岡山県、市町村に導入を支援

適正利用を促すメッセージを付けた岡山市消防局の救急車。不要な出動の増加は救命率低下にもつながりかねない

 岡山県は一般向けの救急電話相談(夜間)を導入する市町村の支援に乗り出す。治療の優先度を決める“トリアージ”を電話で行うことで救急車の適正利用を進め、救急医療体制の強化につなげる狙い。既設の全県対応の小児用(準夜間)に対し、一般向けで運用されているのは鏡野町のみだが、広域自治体で模索する動きもある。9日は救急の日―。

 県によると、常駐医師らが24時間体制で電話相談を受け、家庭での応急処置や救急搬送の要不要など助言する業務を全国展開する民間会社が複数あり、企業や自治体の利用が増加。費用対効果が見込める東京など大都市圏を中心に普及しているが、地方での導入支援は珍しいという。

 県は国の交付金で施策を進める地域医療再生計画(2011―13年度)に、軽症者向けの初期救急体制整備の一環として、電話トリアージの支援を盛り込んだ。交付決定後、本年度内にも市町村が民間会社に委託する費用の一部を補助する方針。県医療推進課は「地域の実情に見合った支援で、救急医療現場の負担軽減を後押ししたい」とする。

 救急搬送をめぐっては、搬送人員の半数を軽症者が占め、本来業務の重症者搬送に支障を来している実態がある。

 県内の10年の出動件数は7万7814件で、10年前の1・4倍。搬送者の3割超(2・5万人)を占める岡山市では軽症者が54%に上り、到着までの平均時間(09年)は全国の7・9分に対し、8・3分。不要な出動が救命率低下を招く事態が懸念される。

 鏡野町は03年から民間会社に委託して町専用フリーダイヤルを設け、相談件数(10年度386件)は増加傾向。「不要な搬送の抑制につながっている」(健康増進課)とし、医療費抑制にも効果を挙げている。

 津山、英田圏域8市町村でつくる救急医療体制推進協議会は、最も重篤な生命の危険がある3次救急を受け入れる救命救急センター(津山中央病院)への一極集中解消を目指し、電話相談の導入を検討中。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年09月09日 更新)

タグ: 医療・話題

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