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「がん療養向け住宅モデル」ニーズ調査 岡山理科大・後藤教授ら設計へ 症例応じた改造法探る

がん患者向けの住宅改造について話し合う後藤教授(左)と納賀代表=岡山市内

 在宅療養のがん患者に適した住宅改造の設計モデルづくりが、岡山理科大工学部建築学科の後藤義明教授(障害対応設計)らによって進められている。本年度中にも全国の患者・家族会を対象にニーズ調査を開始。症例に応じた改造法をまとめ、QOL(生活の質)を高める住環境づくりを目指す。

 国土交通省のバリアフリー設計指針は高齢化や障害への対応が主で、段差解消や手すり設置などが示されている程度。抗がん剤治療の進歩などにより、在宅療養の機会が増えるがん患者に焦点は当てられていない。

 全国初のがん対策推進条例制定(島根県、2006年)に関わるなど先進的な活動をしている患者・家族会「島根がんケアサロン」の納賀良一代表によると、大腸、ぼうこうがんの手術後に取り付けたストーマ(人工肛門、ぼうこう)の洗浄設備をトイレに設けたり、肺がんで酸素吸入器を使う人の移動を助ける際の設計基準はなく、「不便を強いられる患者が多い」という。

 このため納賀代表が、住宅メーカーの研究所などで約30年間、バリアフリー設計に従事した後藤教授に「患者の声を設計に生かして」と呼び掛けた。

 後藤教授と納賀代表は5月末から協議を開始。食事、入浴、排せつ、就寝など生活場面ごとに必要な改造要望や、終末期の身体・精神的苦痛を和らげる環境づくりについて患者会で直接意見を聞いたり、アンケートすることを申し合わせた。今後建築、医療器具業界の協力も得て、症例に応じた設計を試みる。

 後藤教授は「患者は不便さを我慢しがちだが、楽に暮らせる方法を考えたい」。納賀代表は「がんを手始めに、難病患者や家族の視点から住環境を改善するきっかけにしたい」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年09月30日 更新)

タグ: がん医療・話題

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