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孤立する認知症患者 地域支援体制づくり急務 おかやまコールセンター 開設3ヵ月相談まとめ 

 「認知症の人と家族の会県支部」(妻井令三代表)が、6月から運営している無料相談電話「おかやま認知症コールセンター」の3カ月間の受け付け状況をまとめた。相談計165件のうち、患者が一人暮らしのケースが41件と4分の1を占め、孤立する患者や、その家族を支える地域の体制づくりが求められている。

 一人暮らしの患者は想定以上に多かったと言い、妻井代表は「核家族化が急速に進み、家族はもはや高齢者介護のセーフティーネットにはなれなくなっているようだ」と指摘している。

 相談は、子・子の配偶者からが92件、配偶者30件、本人15件、兄弟姉妹6件―など。主な内容は、徘徊はいかいや暴言、うつなど認知症の症状への対処法113件、施設の紹介など医療情報10件、介護保険8件、家族関係5件、経済的問題4件。

 患者が一人暮らしの場合、家族の多くは県外在住のため、地元の病院や福祉施設について情報を求められることが多かったという。独居の患者本人からは「自分は認知症だと感じているが、どこで診断を受けたらいいのか」、近隣住民からは「徘徊しているようだが、家族の連絡先が分からない」といった問い合わせもあった。

 94件あった同居家族からは「診察をうけるよう本人を説得できない」「暴力、暴言がひどく精神的に落ち込んでいる」といった深刻な悩みが寄せられた。

 配偶者からの相談は、患者の入所施設が見つからず老々介護を続けているため在宅の介護サービスを尋ねられたり、症状が進んだ夫に運転免許の返納を促す方法を聞かれるケースが目立ったという。

 相談員はじっくりと耳を傾け、介護保険で受けられるサービスを説明したり、高齢者らの総合支援窓口となる地域包括支援センターを紹介。同支部が岡山、倉敷、井笠地域で毎月開く定例会への参加も呼び掛けている。

 妻井代表は「情報不足のため、どうすれば状況が改善するのか思い悩んでいる人は多い。介護などの相談窓口である地域包括支援センターが、患者や家族の所へ出向いて支援に乗り出せるよう、人員増強を行政に働き掛けたい」と話している。

 認知症コールセンター(086―801―4165、月〜金曜の午前10時〜午後4時)は県の委託を受けて6月1日開設。岡山市北区南方のNPO会館内にある事務局に介護福祉士らの相談員2人が常駐している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年10月15日 更新)

タグ: 医療・話題

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