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岡山県医師会 乳がん発見率、全国トップ級  「岡山方式」導入5年 30歳以上、視触診単独 40歳以上、マンモグラフィー併用

 女性の二十三人に一人がなるとされ、毎年全国で一万人近くが亡くなる乳がんの検診に、岡山県医師会が国の指針より精度の高い“岡山方式”を導入して五年。独自の医師研修制度で視触診の精度を高め、がん発見率は全国トップ水準になった。国は現在、三十代の視触診をなくすなどの方向を示しているが、県医師会は岡山方式を今後も継続したい考えだ。

 乳がん検診には主に、視触診と、がんの影を映し出すマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)の二種類がある。岡山方式は、三十歳以上で視触診単独、四十歳以上で併用検診を毎年実施する。ちょうど国が視触診とマンモグラフィーの併用を打ち出したこともあり、二〇〇一年度、県医師会が県の協力を得て、市町村の検診に導入。現在、ほとんどの自治体で行われている。

 同方式では医師研修を通じ、乳房の外見や感触でがんを見つける視触診の精度を高めているのが特徴。初年度の基礎講習では開業医約千四百人のうち六百人以上が受講を希望。毎年継続し、技術の向上と標準化が進んでいる。

一気に2~3倍

 県医師会によると、一九九七~二〇〇〇年度の四年間、視触診による検診のがん発見率は0・04~0・05%と、全国平均(0・08~0・10%)を下回っていた。ところが同方式を導入した〇一年度、発見率は0・13%と一気に二~三倍になった。

 昨年秋にまとめた県医師会の統計では、〇一~〇四年度の県内のがん発見率は平均0・12%、直径二センチ以下の早期がん比率は57・6%だった。他の都道府県の比較データは少ないが、全国一位といわれる宮城県の発見率0・10、早期がん比率45・30%(同県対がん協会調べ)を上回った。

 県医師会は「岡山が全国トップとなった」と推測。「宮城との違いは医師研修。専用機器でも百パーセントの早期がん検出は不可能で、より完ぺきな検診には視触診の精度の標準化が必要」とする。

 検診で早期がんが見つかった岡山市の女性(55)は「検診の大切さを痛感した」。しこりを感じて診察を受け、早期がんと分かった同市、女性(67)も「検診は毎年、欠かさない」と喜ぶ。

毎年検診を

 しかし、国が〇四年度に示した指針では、〇三年度まで実施してきた三十~四十代の視触診を廃止、四十代以上に併用検診を隔年実施とした。視触診単独での死亡率減少効果は見られないとの理由だという。

 中四国や関西、九州などで講演し、岡山方式の導入を訴えている県成人病検診管理指導協議会乳がん部会委員長で県医師会専務理事の岡崎邦泰医師(71)は、三十代女性の死亡率一位は乳がんであることを指摘。「初期のがんを見過ごせば一年ほどで倍の大きさになる。検診は毎年行うべきだ。数年後には岡山方式の効果が検証できるデータもそろう。検診は救命が最優先で、できる努力をしなければならない」と強調する。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年02月26日 更新)

タグ: がん健康女性医療・話題

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