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がん治療悩みで1200人利用 電話相談室おかやま開設15年

患者や家族の悩みに電話で応じる相談員

 がん治療をめぐる患者や家族の悩み、不安に電話で応じるボランティア「がんの悩み電話相談室おかやま」(事務局・岡山市南区並木町)が開設から15年過ぎた。保健師や主婦らの相談員が週1回、治療方法などの悩みにじっくり耳を傾け、昨年度末までに約1200人の相談を受理。相手の思いに寄り添える相談員の養成にも努めている。

 「現在受けている治療法が正しいか」「自分亡き後の家族が気になる」など担当医や身内に直接話しにくい悩みを受け止め、心のケアにつなげようと1996年9月、医師や保健師らの呼びかけで発足。同所のかとう内科診療所の一角に相談室を開いた。相談員は保健師やがんで家族を亡くした主婦、牧師ら約20人。

 昨年度末までに受理した相談は1178人の1870件。このうち患者本人が過半数の625人、配偶者が213人だった。

 相談内容は、放射線や抗がん剤など治療への不安などが401件、再発や悪化への心配が227件。「治療の説明が不十分」といった医師との関係に悩む相談も191件と1割超。「幼い子を残して死ねない」「妻に自分の病気を告げるべきか」など、家族を気遣う内容も58件あった。

 こうした悩みに対し「相談員は答えを導かず、ひたすら相手の話を聞く姿勢を大切にしてきた」と事務局の相談員馬場美江子さん(56)。「死に直結するような深刻な内容を吐き出し、気持ちが楽になった―という人も多い」という。

 同相談室は開設翌年の97年から毎年独自の講座を開き、相談員を育成。開設当初からの相談員皿海二子さん(61)は「患者らと一緒に泣き笑い、相談員も育てられた。相手の心に寄り添える聞き役をこれからも心掛けたい」と話している。

 相談は毎週土曜日(祝日を除く)の午後2時―5時、086―264―7033で受ける。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年12月23日 更新)

タグ: がん医療・話題

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