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慈圭病院が新病棟建設へ ストレスケア、救急充実 14年度中完成目指す

慈圭病院の新病棟建設予定地のグラウンド。正面奥は本館

 精神疾患を専門とする慈圭病院(岡山市南区浦安本町)は、ストレスケアや救急医療の充実などを図る新病棟の建設に乗り出す。高齢化に伴う認知症やうつ病など精神疾患患者の増加に対応するとともに、利用しやすい開放的な空間作りにも配慮する。2014年度中の完成を目指す。

 計画では、新病棟は本館東側のグラウンドに新築。鉄骨7階、延べ床面積約1万5千平方メートルで、1階は外来窓口や薬局などを設け、2階以上に330床の病床を設置する。

 そのうち8床をうつ病などストレス関連疾患で比較的症状の軽い患者を対象に用意。個室でリラックスしてもらいながら回復を促す県内でも珍しいストレスケア専用の病床とする。現在、50床の認知症病床は100床に倍増させ、高齢者対応にも力を入れる。

 病棟新設に合わせ、急性期治療よりも医師や看護師を多く配置し、手厚い治療を施す「スーパー救急病棟」の設置認可も目指しており、認可されれば県精神科医療センター(同市北区鹿田本町)に次ぎ、県内で2カ所目となる。

 同病院は、1952年に開院。62年には完全開放病棟を設けるなど長く開かれた病院づくりに努めている。現在の病床は3病棟で計600床。うち老朽化が進む2棟の計330床を新病棟へ移行する。

 厚生労働省は昨年7月、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四大疾病に精神疾患を加えて「五大疾病」にする方針を決定。年間3万人超の自殺者の約9割が何らかの疾患にかかっていたとの研究結果もあり、患者の早期治療や病院との連携強化が求められている。

 村上基幸事務長は「近年、精神科への社会的ニーズは多様化しているが、閉鎖的なイメージはまだ根強い。それを払拭(ふっしょく)するためにも、誰もが気軽に利用できる治療環境を整えたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年03月19日 更新)

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