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安価な後発薬利用促進 岡山市 増え続ける国保医療費抑制

ジェネリック医薬品の取り扱いを知らせるポスターを掲げた薬局=岡山市北区

 岡山市は、増え続ける国民健康保険(国保)医療費を抑制するため、安価なジェネリック医薬品(後発薬)の利用を促進する新たな対策を始める。後発薬より高い先発薬を使った国保加入者に対し、後発薬とした場合に軽減できる金額を個別に通知。本年度は1万人を対象とし、切り替えを促す。

 後発薬は開発コストが大幅に抑えられるため、価格を先発薬の50〜70%程度と安く設定できる。

 市は国保加入者の7月の診療報酬明細書(レセプト)を分析。高血圧や糖尿病などの慢性疾患で継続的に服用する先発・後発の両方がある薬について、加入者がどちらを使ったかを薬名で見分ける。先発薬を使った人のうち後発薬との差額が大きい順に5千人を抽出。7月の実際の自己負担額との差額を記した通知書を今月25日に発送する。

 12月下旬にも、9月分のレセプトを基に差額の大きい別の5千人を抽出して通知する。

 国保加入者の医療費は加入者が3割(70歳以上は1割)、市が国保会計から残りを保険給付費として負担する仕組み。市は差額通知で先行する他市の実績などから、本年度で約5千万円の保険給付費の軽減効果を見込む。

 市内の国保加入者は自営業者や退職者ら約16万6500人。市によると、後発薬普及率(7月使用分)は数量ベースで27・6%。市は当面30%を目指す。

 市国保会計の保険給付費は、75歳以上が後期高齢者医療制度に移った2008年度の431億円から、11年度は476億円に増加。11年度は市の歳出総額(4907億円)の1割弱を占め、財政の圧迫要因となっている。

 市国保年金課は「後発薬の利用は患者と国保財政の両面で負担軽減になる。13年度以降も続ける方向で通知対象者数や回数を検討したい」としている。

 医療費抑制を狙いに厚生労働省は09年1月、市町村に国保事業での後発薬の普及促進を通知。先発薬との差額通知は政令指定都市で9市、県内15市では笠岡、備前市など5市が導入している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年10月04日 更新)

タグ: 医療・話題

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