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夜の小児医療電話相談増 岡山県内、11年度過去最多

 岡山県内の小児科医らが診療時間外の夜間、子どもの病気やけがの相談に応じる「小児救急医療電話相談」の利用が増えている。保護者への周知が進み、2011年度は過去最高の8263件。家庭での不安解消や救急医の負担軽減に効果を挙げる一方、高齢化が進む医師の相談員確保など課題に直面している。

 同相談は国の事業で、岡山県は04年度から県医師会に運営委託している。平日の午後7時〜11時は看護師、土日祝日の午後6時〜11時は小児科医を中心とした医師が1人ずつ担当し、携帯電話で対応している。

 相談は初年度484件だったが、07年度以降急増。12年度は9月末までの半年間で3970件で、インフルエンザなどが流行する冬場に増えるため11年度並みになる見込み。発熱やせきなど軽症事例の相談が多く、対処法を助言したり翌日の受診を勧める一方、119番通報を促したことも11年度は11件あり、重症患者の早期発見につながっている。

 相談者の居住地別相談件数(11年度、千人当たり)をみると、岡山市を含む県南東部が38・14件で最多。高梁・新見23・7件、津山・英田18・92件と続き、「小児科医が不足する地域での不安軽減になっている」(県医師会)。

 ただ、現体制での限界を指摘する声も少なくない。相談員の医師は07年度の46人をピークに12年度は31人まで減少。60〜70代が半数以上を占める。

 こうした中、11年度の1日当たりの相談は平均で22・6件。食事もできないほど電話がかかるため、自分の患者に対応できず、疲労や睡眠不足で翌日の診療に差し障るケースもあるという。相談時間短縮を訴える声に、県医療推進課は「サービス低下につながるため難しい」としている。

 県は平日を担当する看護師も7人と少ないため、県内の小児医療の拠点病院に現役や退職した看護師などを紹介してもらうよう依頼。相談員の絶対数を増やしていく考えだ。

 県医師会の国富泰二理事は「成果が出ているシステムだが、現役医師には負担が大きく、今以上のニーズへの対応は難しい。持続できる仕組みをつくりたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年01月05日 更新)

タグ: 医療・話題

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