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ノンアルビール マウス肺がん抑制 岡山大院生ら DNA修復効果発見

高田潤さん

 ノンアルコールビールを口にしたマウスは肺がんの発症を抑えられる―。そんな研究成果を岡山大医歯薬学総合研究科大学院生の高田潤さん(44)らの研究グループが明らかにした。人間への応用が進めば、新たながん予防法の開発につながると期待される。

 実験で、ノンアルコールビールを混ぜた餌を食べさせたマウス15匹に発がん物質を注射し、約150日後に解剖して肺の組織を調べた。水を混ぜた餌を食べさせた場合と比べ、腫瘍の数が平均して5~7割程度少なかった。腫瘍が全くないマウスもいた一方で、水の場合は全ての個体に複数の腫瘍があった。

 詳しく調べると、ノンアルコールビールに、発がん物質で損傷したDNAの修復を促す効果が見つかった。DNAの損傷による細胞の突然変異を防ぐことで、がん発生を抑えていると結論付けた。

 ノンアルコールビールに含まれる何らかの物質が、がんの抑制に影響しているとみられ、今後研究を進める。また、ビールでも一定の抑制効果が確認されたが、アルコールの多量摂取がかえって健康被害を引き起こす恐れがあるという。

 健康志向の高まりを背景にノンアルコールビールの消費量は増加傾向にあり、高田さんは「身近な飲料ががん抑制に役立てばいいのに、と思って研究を続けてきた。予防法解明の一歩になればうれしい」と話す。研究成果は6月、日本環境変異原ゲノム学会の学会誌に掲載された。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年07月23日 更新)

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