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119番、搬送時間年々長く 11年岡山県内平均34.5分

 119番通報で救急要請を受けてから、患者を病院に収容するまでの時間が年々長くなっている。全国で算出方法を統一した2008年との比較では、11年の岡山県内平均は3.2分延びて34.5分に。背景には出動件数の増加や医療機関側の患者収容力の限界、救急医療の高度化などさまざまな要因があるとみられる。

 消防庁などによると、岡山県の平均収容時間は08年に31・3分だったのが09年32・4分、10年33・5分と年々1分ずつ長くなっている。大きな要因が出動件数の増加。11年は08年より約7千件多い8万121件あった。1日200件以上出動している計算で、「要請が重なって重症者の搬送が遅れるケースも出ている」と岡山市消防局は言う。

 背景には高齢社会の進展に伴う高齢者の搬送要請の増加があり、11年の搬送者7万6233人のうち55%が65歳以上。加えて48%が入院の必要のない軽症者という現状もある。

 搬送人員の増加は受け皿となる医療機関側の業務も圧迫し、受け入れ拒否も相次ぐ。重症者の搬送で医療機関から3回以上断られたケースは08年に1・9%だったのが11年は2・4倍の4・5%に上り、全国平均(3・9%)を上回る。拒否の理由は、症状に対応できる医療機材がないなどの「処置困難」が最も多く、「ベッド満床」「医師が手術中」などと続く。

 昨年12月に99件の受け入れ要請を断った岡山市民病院は「全員を受け入れたいが、集中治療室が使用中だったり専門医が不在など、病院としても収容力に限界がある」という。

 さらに、救急救命士の普及により現場で行える医療措置の幅が広がったことが病院搬送までの時間を延ばす一因にもなっている。

 消防庁は119番を受けた担当者が救急出動の必要性を判断するトリアージ(治療の優先順位付け)の導入を目指している。場合によっては自力受診を求める内容で「試験運用の結果を踏まえ、効果的であれば導入したい」と県消防保安課。「県内の消防本部、医療機関などでつくる救急搬送体制連絡協議会でも情報交換を密にして連携を深め、迅速な搬送につなげたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年01月29日 更新)

タグ: 医療・話題

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