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結核「診断遅れ」防げ 岡山県、医療機関の連携強化へ

結核診療の強化に向け、南岡山医療センターの宗田院長(中央)に拠点病院の指定書を手渡す伯野県保健福祉部長

 岡山県は結核の適切な診断・治療ができる医療者を増やすため、医療機関同士の連携強化を図る。県内でも病院や学校での集団感染が報告され、初診から診断まで1カ月以上を要した「診断遅れ」の割合は2011年、4人に1人に上った。19日には、かかりつけ医らへの研修や相談を担う「結核診療連携拠点病院」に2病院を指定した。

 県によると、県内の10万人当たりの結核患者は1987年に42・5人だったが2001年には25人、11年は16人。これに伴い医師が結核を診断する機会は減った。

 ただ、患者は減ったものの感染は後を絶たず毎年二十数人が死亡。集団感染も発生し、11年6月には岡山市北区の病院で患者・職員70人、12年10月に備前保健所管内の高校で生徒・教職員35人が感染している。

 県健康推進課は「初期症状が風邪と似ているため、経験不足だと診断が遅れて感染拡大や重症化につながりかねない」と指摘。11年の県内の「診断遅れ」の割合は25・0%(全国平均22・7%)、発病から診断まで3カ月以上かかった「発見の遅れ」は15・3%(同19・4%)だった。

 このため県は、かかりつけ医など地域の医療機関に指導的役割を担う病院の拠点化を計画。19日には、伯野春彦保健福祉部長が国立病院機構南岡山医療センター(早島町)の宗田良院長と、県健康づくり財団付属病院(岡山市)の西井研治院長に「拠点病院」の指定書を交付した。

 専用病床を持つ岡山市立市民病院、平病院(和気町)、津山中央病院(津山市)と、拠点病院の計5病院を別途、基幹病院に指定。基幹病院は地域の結核医療の中心で、主に入院治療を担当し医師に経験を積んでもらう。拠点病院は薬の効きにくい多剤耐性結核など治療の難しいケースも担う。

 県健康推進課は「結核の発症が多い高齢者は合併症があり治療が難しいケースも多くなっている。重症化や感染拡大の阻止に向けた態勢を整えたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年02月20日 更新)

タグ: 医療・話題

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