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新岡山市民病院の工事安全祈願 15年5月開院予定

新市民病院の完成イメージ図

 岡山市が岡山操車場跡地の西部エリア(同市北区北長瀬表町)に整備する新市民病院の工事安全祈願祭が26日、現地で行われた。3月上旬に着工、2015年5月の開院を予定している。

 新病院は、活用策が長年の懸案となっている操車場跡地(20・9ヘクタール)の整備に向けた基本計画案で市が示す3ゾーンのうち、医療や福祉系区域の中核施設。現市民病院(北区天瀬)を引き継ぎ、救急医療などに重点を置いた病院としてリニューアルする。

 祈願祭には新病院の運営に協力する岡山大、医療関係団体の代表、地元住民ら約130人が出席。高谷茂男市長がくわ入れし、丹羽国泰岡山県医師会長らが玉串をささげた。

 市長は「市が目指す都市像『総合福祉の拠点都市』を体現する病院としたい」とあいさつ。槇野博史岡山大病院長は「今まで以上に市や市民病院を支援したい。信頼される新病院になることを願う」と述べた。

 新病院はJR山陽線北長瀬駅前に建設。8階延べ約3万3800平方メートルで、24時間365日体制のER(救急外来)や18診療科、400床を備える。市民が保健や医療、介護サービスを切れ目なく受けられるように相談窓口を設ける。総事業費は156億6千万円。市は14年度に地方独立行政法人を設立して経営する。

救急外来に期待も、他院との共存共栄課題

 式典に出席した医療関係者や住民は、新病院が柱に据える24時間体制のER(救急外来)に期待を寄せる一方で、他病院とすみ分けが図られるのか課題を指摘した。

 丹羽会長は「ERでの患者受け入れは、不足している小児科医らの負担軽減につながる」と評価。地元の西学区連合町内会の黒住卓弘会長も「ERは高齢者らの安心につながる。病院はJR北長瀬駅から近く、多くの人が訪れれば地域のにぎわいも増す」と述べた。

 公的病院として人材育成への役割に期待もかかる。県看護協会の石本傳江会長は「他病院のモデルとなるような質の高い救急分野の看護師をERで養成してほしい」と要望する。

 新市民病院は基本計画で、市内の医療機関同士の役割分担や連携を促す機能も掲げているが、具体像はまだ見えてこない。

 県病院協会岡山支部の小林建太郎会長は「市内には既に優れた中核医療施設がある。これらと新市民病院がどうすみ分けし、連携するかが課題」と指摘する。

 市と、医師派遣などで影響力の強い岡山大は運営協力で協定を締結。新病院の行方は、市が都市像に掲げる「総合福祉の拠点都市」の今後を左右するだけに、松本健五・市病院事業管理者は「着工を迎え、身が引き締まる思い」と話した。

 その上で「現在の市民病院以上の医療を提供するために何をすべきか、開院までに職員の共通認識を築いていきたい。市内の他病院との共存共栄の在り方も考えたい」との姿勢を強調した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年02月26日 更新)

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