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「自らの備え重要」8割 難病患者の災害対応、岡山県調査

 岡山県内の難病患者の8割が災害へ自らの備えが重要と感じ、自助意識を高めている一方、避難誘導などに役立てる自治体の災害時要援護者台帳への登録は1割余りにとどまることが14日、県の調査で分かった。東日本大震災で防災意識が向上したものの、支援制度は十分に浸透していない実態が浮き彫りとなった。

 県医薬安全課によると、自力避難が困難な難病患者も多く、自宅で人工呼吸器を使用している人もいるなど災害は命の危険に直結する。東日本大震災では停電で機械が止まって死亡したケースもあり、避難対策は大きな課題となっている。

 アンケートは昨年4〜5月、特定疾患医療受給者4936人(回答2366人)に実施した。日ごろの備え(複数回答)は、78・1%が「自分自身で災害に備える」を選択。「地域とのつながりを持つ」「自主防災組織など地域での取り組みを進める」などを選んだ人も合計で80・3%に上り、共助を重視する姿もうかがえた。

 その半面、各市町村が進める災害時要援護者の台帳登録者は12・3%と低迷。43・3%が制度自体を知らず、10・6%が登録方法が分からないとした。疾病名やかかりつけ医、連絡先などを記載する県独自の「緊急医療支援手帳」を活用している人も27・3%にとどまった。

 災害への不安は「電気、水道、ガスが止まること」が50・8%で最多。「避難場所への移動が困難」「治療や訪問看護などの中断」など難病患者特有の悩みも目立った。

 地域の避難場所は69・4%の人が認識。福祉避難所に望むもの(複数回答)は「服用する薬」(42・1%)がトップで、「洋式トイレ」「専門医との連携」と続いた。

 県医薬安全課は震災後、対象者全員に緊急医療支援手帳を、関係団体には支援マニュアルを配り、施策をPRしてきた。今後は調査結果を参考に、各保健所と個別支援計画の作成などに取り組む。同課は「市町村との連携を深め、各種支援制度の浸透を図りたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年03月15日 更新)

タグ: 医療・話題

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