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服薬徹底で結核完治を 岡山県が手帳作製、地域DOTS導入

県が結核患者の服薬支援を行うため作った「岡山晴れ晴れDOTS手帳」

 岡山県は、結核患者の服薬治療を在宅療養で徹底するための支援法「地域DOTS」を4月から本格的に始めた。薬の種類を記録したり、飲み忘れをチェックする手帳を3千部作り、保健所、医療機関に配布。かかりつけ医や家族、薬剤師らが服薬管理に役立てるとともに、専門医療機関がない地域でも適切な治療ができるようにする。

 県内の10万人当たりの結核患者数は1987年の42・5人から2011年は16人に減少する一方で、毎年二十数人が死亡。服薬治療には最低でも半年以上かかるとされるが、退院後、症状が治まって服薬を中断し完治しない人も多く、薬の効きにくい多剤耐性結核を発症することもある。

 DOTSは周囲の人が服薬治療を支える方法で、世界保健機関(WHO)が各国に導入を呼び掛けている。県は一部の患者に対して保健所が訪問や電話での服薬確認を行っていたが、国が11年の予防指針で全患者への実施を定めたことなどから今回、手帳での支援開始を決めた。

 A5判の手帳は、病院の医師が薬の種類と量、期間などを記すほか、1年間の服薬カレンダーを付けている。患者が所有し、医療関係者らが内容を確認。視力の低下など副作用が起きることもある眼科・耳鼻科の医師が記入する欄もある。

 県は感染の疑いが濃い未発症患者向けのDOTS手帳も14年度に別途導入する計画。県健康推進課は「専門性の高い拠点病院や基幹病院は県南に偏っている。手帳を通じて医療機関の連携を深め、きめ細かな患者支援を行いたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年05月05日 更新)

タグ: 医療・話題

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