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被災者支援の活動記録集 県精神科医会が作成

岡山県精神科医会が作った「岡山県心のケアチーム」の活動記録集

 東日本大震災で甚大な津波被害を受けた宮城県南三陸町に「岡山県心のケアチーム」を約1年派遣し、被災者の診察・相談に当たった岡山県精神科医会が活動記録集を作った。チームの中核を担った精神科医らの証言を基にドキュメンタリータッチで足跡をまとめ、将来起こり得る大規模災害に向けた提言も盛り込んでいる。

 記録集はA4判、フルカラーの210ページで4章構成。全体の半分超を占める1章「南三陸町編」は、震災発生から現地入り▽救急医療支援(11年3月中旬〜4月末)▽精神的ケアによる継続支援(5月〜12年3月末)―の3段階に分け詳述。県精神科医療センター(岡山市)の来住(きし)由樹、五島(ごしま)淳両医師の目から見た被災地の状況やチームの行動が克明につづられている。このほか、さまざまな症状を訴える患者の診療実績や同センター内の対策本部とやり取りした活動報告メール、現地の写真も載せている。

 4章の「番外編」は来住、五島両医師が災害時の支援体制の在り方などについて言及。来住医師は「精神科版の派遣医療チームや災害拠点病院の整備が必要」と提言し、五島医師は「支援に正解はなく、自分の経験と哲学を総動員して『こうすべきと信じる』ことをやるべき」とした。

 2章は「南相馬市編」、3章は現地の自治体関係者やチームスタッフらによる「寄稿集」。来住医師は「東日本大震災の経験が、南海トラフ地震など巨大災害に備えるための一助になれば」と話している。

 記録集は2千部作製。全国の図書館に配布するほか、近く県精神科医療センターのホームページにも全内容を公開する。

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 岡山県心のケアチーム 2011年3月11日の東日本大震災直後に宮城県から要請を受け、同19日に南三陸町入り。岡山県精神科医療センターを中心に精神科医や看護師、事務職員ら7人前後で構成し、治療の緊急度が高かった同年4月までは避難所や老人ホームを巡回。5月から12年3月末までは住民ボランティアらの精神的ケアやケアシステム構築に取り組んだ。11年8〜11月は福島県南相馬市の支援にも当たった。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年07月05日 更新)

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