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タンパク質で四肢再生制御 岡山大・佐藤准教授ら、両生類から解明

佐藤伸准教授

皮膚切除後に3種類のタンパク質を投与した結果、生えてきた前脚

 岡山大異分野融合先端研究コアの佐藤伸准教授(発生生物学)らは、四肢が再生するメキシコサラマンダー(通称ウーパールーパー)から、その能力を制御するタンパク質3種類を突き止めた。両生類の遺伝子構造は哺乳類と似通っており、進化の過程で失ったとされる再生能力を“復活”させ、再生医療への応用を目指す。

 イモリなど両生類の一部は四肢や尾がちぎれても再生する能力を持つ。グループの従来の研究では、ウーパールーパーの脚の皮膚を一定の大きさで切り取り、その部分に脚の神経を移植するともう1本生えてくることを発見していたが、メカニズムは不明だった。

 グループは、前脚の皮膚を2ミリ四方で切除して神経を移植したウーパールーパーと、皮膚の切除だけを行った群を比較し、数千に及ぶ遺伝子を分析。うち3種類の遺伝子に関係するタンパク質が再生に関与していることを特定した。

 再生した脚を動かすため、神経の伸長に関係するタンパク質の探索とともに、骨の再生に向けたマウスによる研究も進めている。佐藤准教授は「100年余りに及ぶ再生研究の悲願の一つが解明できた。ヒトでの応用を実現させたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年08月04日 更新)

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