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「家族の会岡山県支部」が介護読本作製  認知症の人も普通の人 心接するケア紹介

認知症介護読本「認知症の人のこころ 家族・介護者の心」

有田博紀さん

 「財布をどこかに置き忘れたのに、身近な人がとったと言い張る」「単語を忘れ、会話が途切れがちになる」など、認知症の症状はまず家庭で表れることが多い。家族はどう接したらいいのか? 呆(ぼ)け老人をかかえる家族の会岡山県支部は対処法を認知症介護読本「認知症の人のこころ 家族・介護者の心」にまとめた。「認知症の人も普通の人」という考えを基本に「症状を正しく理解し、気持ちや苦しみを共有できれば、日常生活を一緒に過ごせる」とアドバイスしている。

 若年性アルツハイマー病の妻を二〇〇三年、六十六歳で亡くすまで十年余介護した前事務局長の有田博紀さん(71)=岡山市福富西=が中心となり、会員それぞれの介護体験を基に作製した。老化による物忘れとの違いなど認知症についての解説から、望ましいケアのあり方、症状の進行とそれに応じたケアの実践などを紹介。会員の手記も収めている。

 読本によると、認知症の人も普通の人と同様、喜怒哀楽による行動の幅があり、問題行動のすべてが認知症のせいではないという。例えば、いつも世話してくれる嫁に厳しく当たるのに、たまに帰省する子ども家族には優しい―という多くの介護者を悩ますケースは、表と裏を使い分ける人間本来の能力をまだ保持しているからだと説明。さらに、妄想によるはいかいなどパニックにも原因があるとし、こうした認知症の人の心に接し、残っている能力を引き出すケアを説いている。

 そのための心掛けとして、失敗を責め傷つけない▽言い訳を非難しない▽気持ちや言葉を補足してあげる―などを挙げ、「とられ妄想」など代表的な症状についてケアの仕方を指導している=表参照。

 ただ、こうした心掛けを保つには介護者の忍耐が欠かせず、ストレスがたまる。有田さんは「直接介護にかかわっていない家族が介護者をいたわり支えてあげるのも大切だ」と訴えている。

 A4判、二百八ページ。五千部を作製し、希望者に配布している。

 問い合わせは同支部(086―232―6627)。


認知症ケアの実践例

【とられ妄想】

 認知症の人が財布をどこかに置き忘れ、介護者に「財布をとった」と言い大騒ぎすることがよくある。一番身近な人に失敗を責任転嫁しているのだが、介護者が「何を言っているの」「知らない」と言ってしまうと、認知症の人の気持ちを台無しにしてしまう。

 失敗を傷つけない▽言い訳を非難しない―という心掛けを持ち、「一緒に探しましょう」と言って気持ちを和らげるのが最善。探し当てても「やっぱりここに置いていたじゃない」と非難せず、「あって良かったね」とサラッとかわしてあげる。

【注】「認知症介護読本」から抜粋、要約
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年05月20日 更新)

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