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神経系難疾患一緒に闘おう 津山の小5男児

両足に補装具を着けて生活する真哉君と母久美さん

 津山市阿波地区に末梢(まっしょう)神経の異常で手足が動かなくなる神経系疾患「CMT」と闘う少年がいる。阿波小学校5年南都真哉(まさや)君(11)。両足に補装具を着けて暮らすが、進行を止める有効な治療法はなく、将来への家族の不安は尽きない。母久美さん(39)は「同じような境遇の親子と励まし合えれば」と情報提供を呼び掛けている。

 真哉君が岡山大病院でCMTと診断されたのは小学3年の時。両足首の曲げ伸ばしができず、思うように歩けない様子に久美さんが気付いたのがきっかけだった。

 筋萎縮の影響で左足先が内側に曲がり、手術で矯正した。最近は手にも力が入りにくくなり、食事は介護用の箸を使う。関節が固まるのを防ぐためのリハビリは、岡山県勝央町の病院で週2回。自宅では就寝前、父武治さん(42)が必ずマッサージを施す。

 「一日も早く薬ができればいいのに」。屈託なく話す真哉君の夢は学校の先生になること。2年前、耳が一時的に聞こえづらくなり心待ちにしていた運動会への参加を諦めた時、一緒に泣いてくれた担任の男性教諭の優しさに触れたからだ。

 激しいスポーツ以外は体育の授業にも出席し、休日には武治さんとサイクリングを楽しむ3人兄弟の末っ子。家族の前で弱音を吐かない弟のために、高校生の長兄(17)は理学療法士を目指しているという。

 CMTの患者は国内で推定2千人以上とされる。全国規模の患者の会はあるが、年配者が多く、同世代の親子は身近にいない。医療費が助成される国の特定疾患(難病)への指定を求め、11月には山梨県の小学生親子とともに厚生労働省を訪ね、要望書を提出した。

 それでも明るさを失わない真哉君を見るにつけ、久美さんには込み上げてくる思いがある。「いずれ壁にぶつかる時が来るかもしれない。周囲に相談できる人がおらず、私たちと同じ悩みを抱える親子がもし身近にいるのなら共に支え合い、乗り越えていけるはず」

 CMT 研究者3人の名前からとった「シャルコー・マリー・トゥース病」の略。患者は人口10万人当たり5〜40人といわれ、発症時期は思春期から青年期が多い。主な症状は手足の特に先端の筋力低下、感覚の鈍化、痛みなど。腰痛、足関節の拘縮といった合併症が見られるほか、重症化すると呼吸不全を来す恐れもある。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年12月27日 更新)

タグ: 医療・話題

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