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「REIC」で悪性中皮腫臨床研究 4月にも、岡山大病院

会見する豊岡教授(右)と公文教授(中央)ら=岡山大病院

 岡山大病院は19日、同大が発見したがん治療遺伝子「REIC(レイク)」による悪性中皮腫治療の安全性と効果を検証する臨床研究が、国の厚生科学審議会科学技術部会で承認され、4月にも患者への投与を始めると、発表した。

 悪性中皮腫はアスベスト(石綿)が主な原因とされ、患部の切除手術や肺がん治療薬の一部が有効だが、1年生存率は約50%。より有効な治療法が確立されなければ、今後40年間で10万人以上が死亡すると推計されている。

 臨床研究は岡山大病院泌尿器科長の公文裕巳教授、同大大学院医歯薬学総合研究科の豊岡伸一教授(呼吸器外科)らが2011年に申請。胸膜にできたがんで手術では治療できない患者を対象に、REICと運び役となる「アデノウイルス」を組み合わせた薬剤を腫瘍に直接、注入する。4段階の濃度で最低3人ずつに投与し、4週間かけて副作用や腫瘍の縮小などを調べる。

 会見した豊岡教授は「安全性と効果を確認し、将来、標準的な治療法の一つとして根付かせたい」と話した。

 REICは岡山大が00年に発見。がん細胞のみを自滅させ、がんに対する免疫を活発化させることが分かっている。同病院は既に臨床研究として前立腺がんの治療を実施。23人に投与し、有効性を確認、一時的な発熱以外に副作用はないという。近く、腎細胞がんに対する投与も国に申請する。
 
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年02月20日 更新)

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