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患者蘇生時に脳を冷却保護 岡山大病院准教授が装置開発

急速冷却で脳へのダメージを軽減する装置と、開発した武田准教授

 岡山大病院の武田吉正准教授(麻酔蘇生学)は18日、心肺停止患者の蘇生の際、喉を流れる血流を急速に冷却し、脳を保護する医療機器を開発したと発表した。低体温療法の一種で、冷却シートなどを使う従来の手法に比べ、短時間で脳の温度が下げられ、神経細胞へのダメージ軽減が期待できるという。

 装置(高さ90センチ、幅55センチ、奥行き37センチ、重さ約75キロ)内で約5度に冷却した水を流すチューブを口から挿入し、咽頭付近に固定して脳に向かう血液を冷やす仕組み。共同開発した医療機器メーカーの大研医器(大阪市)が近く発売する。

 心筋梗塞などで心肺停止に陥ると、酸素不足から脳神経細胞が破壊される。患者には全身を冷却シートで包んだり、冷たい輸液の点滴などの低体温療法が用いられてきたが、心肺停止状態では血流がなく効果が乏しいといったデメリットがあった。

 武田准教授らのグループは2002年から装置の開発に着手。喉の近くを通る動脈が脳を循環している点に着目し、心臓に負担なく急速に脳の温度を下げる手法を考案した。

 09年6月に同大病院など全国18の医療施設で始めた臨床研究で、心肺停止で搬送された50人に同装置を使用。6―8時間を要したとされる全身を冷やす方法に対し、約2時間で冷却できることを確認できた。

 武田准教授は「従来の方法では心臓の安定を待って冷却に取り掛かる必要があった。将来的には救急車に搭載できるよう、小型化も図りたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年03月19日 更新)

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