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サルナシに肺がん抑制効果 岡山大大学院有元准教授、マウスで確認

有元佐賀恵准教授

肺がんの抑制効果がマウスで確認されたサルナシ=2013年9月

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の有元佐賀恵准教授(遺伝毒性学)は、サルナシの果汁が肺がんの抑制に有効なことをマウスによる実験で確認した。皮膚がんや、大腸がんの前段階である「前がん病変」の予防効果に続く成果。研究を依頼した岡山県新庄村は「特産化を一層推進したい」としている。

 サルナシはキウイの原種とされ、果実は直径2―3センチの緑色。岡山県内唯一の産地という新庄村には、古くから自生し、ビタミンCが豊富で滋養強壮効果などがあるとされてきた。

 実験は、たばこに特有の発がん性物質を皮下注射したマウス31匹のうち、16匹に水道水、15匹にサルナシ果汁を飲ませながら飼育。22週間後に解剖して左肺の腫瘍を調べたところ、水道水グループは1匹当たり3―7個見つかったのに対し、サルナシグループは0―2個にとどまった。

 村は健康への好影響をPRにつなげる狙いで2010年、成分研究を依頼。12年に皮膚がんの抑止、13年に大腸がんの前がん病変の発症を抑える効果などが確認された。有元准教授は「肺がんは全がんの中で死者が最も多い。人間への効果は今後研究を進めるが、有用な結果が得られた」と話している。

 新庄村では今年、村サルナシ栽培研究会(17人)が約1・1ヘクタールで栽培し、700キロを収穫する計画。リキュールやジャム、酢に加工したり一部を生食用に販売する。

 村産業建設課は「自信を持って生産拡大を推奨できる」と歓迎し、栽培研究会は「特長を生かしてブランド化につなげたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年08月06日 更新)

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