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「災害支援ナース」養成に力 岡山県看護協会

災害支援ナースとして避難所で活動した秋山さん(前列右)=2011年4月10日、岩手県陸前高田市

 岡山県看護協会(岡山市北区兵団)は、大規模災害時に被災地で活躍できる「災害支援ナース」の養成に力を入れている。東日本大震災で活動した看護師らを講師に、座学と実務訓練など独自のプログラムを実施し、現在修了者61人が登録。急病への対応や持病の悪化防止と心のケア、被災した看護師の援助といった災害時特有のスキルアップに努めている。

 災害支援ナースは、1995年の阪神大震災を機に、日本看護協会(東京)が育成を推奨。経験5年以上の看護師が各都道府県の看護協会の研修を受けて認定される。現在、全国に約7200人おり、被災した看護協会の求めに応じて派遣。これまでに東日本大震災をはじめ、新潟県中越地震(2004年)や能登半島地震(07年)で活躍した。

 応急手当てはもちろん、避難所生活で強いストレスを抱えた被災者の心のケアや感染症の拡大予防など24時間体制で対応。特に東日本大震災では、現地の看護師自身も被災者で、心身の負担が大きく、その軽減を図るという役割も果たした。

 県看護協会では01年に募集を開始。独自のプログラムを考え、毎年計4日間の新規研修を行って希望する修了者が登録するほか、前年までに災害支援ナースとなった人も講習を受けて更新している。

 県内からは東日本大震災の時に初めて計15人が宮城、岩手県で支援活動を行った。今年8月の研修では、岩手県陸前高田市で活動した慈圭病院・看護副部長の秋山千広さん(58)=岡山市南区=が講師となり、体験を紹介。「被災者から信頼や安心感を得るには、考え方の柔軟性や相手への思いやりが大切」と語った。9月下旬には実務研修として、現場で必要な技術や心構えなどを学ぶ。

 近いうちに発生が懸念される南海トラフ巨大地震をはじめ、8月に起きた広島市の土砂災害など豪雨や台風による大きな被害も増加傾向にある。県看護協会の平井康子常務理事は「出動する機会が増える可能性は高く、被災地で冷静に行動できる優秀な人材を育てたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年09月13日 更新)

タグ: 医療・話題

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