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早津岡山大名誉教授に学術賞 高松宮妃癌研究基金

早津彦哉岡山大名誉教授

 がん抑制遺伝子の働きを阻害する、メチル化したシトシンを見分ける解析法の確立に貢献したとして、岡山大名誉教授の早津彦哉さん(80)=岡山市北区=が、2014年度の「高松宮妃癌(がん)研究基金学術賞」に選ばれた。

 シトシンはDNAを構成する塩基の一つ。早津さんは東京大の助教授だった1970年、メチル化シトシンに重亜硫酸を加えると、メチル化していないシトシンよりも化学反応の速度が極端に遅くなることを発見した。

 92年にオーストラリアの研究グループが、早津さんの発見を利用してメチル化シトシンを判別する「重亜硫酸修飾法」を確立。今では世界中の医療現場に普及しており、早津さんの発見ががんの診断や治療の発展に大きく貢献したと評価された。

 高松宮妃癌研究基金は68年に設立。がんの分野で優れた業績を挙げた研究者らに毎年学術賞を贈っている。今回は早津さんを含め2人の受賞が決まった。

 授賞式は2月20日に東京で行われ、高松宮妃癌研究基金総裁の常陸宮さまが賞状などを手渡す予定。早津さんは「化学反応が見つかった当時は何の役に立つのか分からなかった。受賞は他の研究者が日々努力してくれたおかげ」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年01月27日 更新)

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