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不妊治療助成 利用が低調 制度開始1年半 640件、見込みの半数

 不妊に悩む夫婦を対象に、国の少子化対策事業を活用して岡山県と中核市の岡山、倉敷市が二〇〇四年秋からスタートさせた不妊治療費の一部助成制度の利用が伸び悩んでいる。〇五年度末までの一年半で申請者は計約六百四十件と、当初見込みの千百件の半数程度。「助成制度がまだ浸透していない上、不妊治療は極めてプライベートなことがらで、申請しづらい状況がある」(県健康対策課)とみられ、本年度から助成期間を延長して申請者の利用促進を図っている。

 県によると、不妊治療に関する国庫補助事業は、全国のすべての都道府県と政令市、中核市が導入。国の指針に基づき、県内に一年以上居住し、年収(控除後)が六百五十万円未満の夫婦が対象となる。医療保険が適用されず、一回当たり三十~四十万円かかるとされる体外受精や顕微授精の治療の際、年間で十万円を限度に国と自治体が半額ずつ助成する。

 県と岡山、倉敷市は、不妊治療の実績のある岡山、倉敷、津山、新見市の十一の医療機関を治療施設に指定。岡山、倉敷市を除くエリアをカバーする県の場合、〇四、〇五年度とも各二百四十件の申請を見込んだが、実際には〇四年度百十四件、〇五年度百二十八件しかなかった。

 倉敷市も年間百五十件の申請見込みに対し、申請は〇四年度が三分の一の五十件、〇五年度が三分の二の百四件と低調。岡山市は、〇四年度七十一件、〇五年度百七十一件の申請があり、二年目で見込みの年間百六十件を超えた。

 利用促進のため、県、岡山、倉敷市ともに本年度から助成期間を二年から五年に延長し、対象者のメリット拡大を図っている。一方で、利用が低調なため、県は〇五年度まで二千四百万円計上していた予算を、本年度は千六百万円に減額した。

 県内ではこのほか、新見、真庭市や新庄村など八市町村が県補助に上乗せする独自の助成制度を設けている。

 倉敷市保健所は「指定医療機関を通じ、申請をしてもらうよう患者に呼び掛けていく」とし、県健康対策課は「積極的な広報を図っていきたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年08月20日 更新)

タグ: 男性女性医療・話題お産

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