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らい予防法廃止10年 「意識変わった」3分の1 邑久光明園の入所者調査

 ハンセン病患者を隔離する根拠となった「らい予防法」廃止(一九九六年)から十年を機に、国立療養所邑久光明園(瀬戸内市邑久町虫明)の機関誌「楓(かえで)」編集委員会が入所者約百人に行ったアンケートで、法の廃止前と比べ「内面の意識が変わった」と答えたのは三分の一しかいないことが分かった。

 また約三割が、病気への偏見・差別は改善されていないと感じており、同委員会は「法の廃止やその後の国賠訴訟勝訴、行政の啓発活動が、生活を劇的に変えるには至っていない」としている。

 調査は〇一年に続き二回目。「法廃止後、自分の意識に変化があったか」の問いに、「あった」としたのは34・7%(前回調査37・1%)。具体的には「療養所にいることを自然に話せるようになった」「外出で周囲の目を気にしなくなった」などだった。

 病気への偏見や差別では、65・3%が「是正されつつある」とし、前回(48・5%)より増えたが、「そう思わない」も依然29・6%(同47・4%)あった。

 「訪問者が増えた」「社会交流が深まった」など、療養所をめぐる状況の変化を感じているのは69・4%(同67%)でほぼ横ばいだった。

 同委員会は「思ったほど入所者の意識が変わっていないのは、病気の後遺症や高齢化で社会交流に参加できる人が限られていることの表れ。参加できない人への施策の充実が求められる」としている。

 調査は三月、約二百四十人の入所者から無作為抽出した百人にアンケート用紙を配布。九十八人から回答を得た。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年09月13日 更新)

タグ: 医療・話題

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