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生前に終末医療方針 御津医師会が啓発ドラマ

リビングウイルの啓発ドラマの仕上がりを確認する監督の森さん

 自分らしく生を全うしたい―。そんな願いから終末期医療の方針などを生前に記しておく書面「リビングウイル」を広く知ってもらおうと、岡山市北部と西部の開業医らでつくる御津医師会が啓発ドラマを作った。11月3日、岡山市立市民病院(同市北区北長瀬表町)で開く同医師会の学術シンポジウムで初めて上映する。

 ドラマは約20分で、高齢女性が意識不明で病院に搬送され、駆け付けた家族が人工呼吸器の装着など延命治療を行うかどうかの決断を迫られる―という内容。同市内の病院に勤務する医師が実体験を踏まえて脚本を作成し、同市在住のアマチュア劇団員や医師会員らが出演した。

 監督を務めたケアマネジャー森恵子さん(51)によると、最近は「最期は延命治療を望まない」「病院ではなく自宅で最期を迎えたい」などと口頭で意思表示する高齢者が増加傾向にある一方で、文書に残していないため、対応を委ねられた家族が決定を悩むケースが少なくない。そんな時に、リビングウイルがあれば判断材料になるという。

 シンポジウムでは上映の後に、出席者に同医師会が準備したリビングウイルのひな型を配布。人工呼吸器の装着▽胃ろうなどの栄養補給措置▽水分補給―といった終末期医療を受け入れるかどうかを考えてもらう。

 同医師会の大橋基副会長は「国が在宅医療にかじを切る中、これまで以上に一人一人がどんな最期を迎えるかが問われている。自分らしい締めくくり方を考えるきっかけにしてほしい」と話している。

 シンポジウムは午後2時~4時。参加無料。定員300人で、申し込みが必要。問い合わせは御津医師会(086―259―3812)。

 リビングウイル 生前の意思という意味の英語。書面様式は決まっていないが、人工呼吸器の装着、心臓マッサージなど延命措置を受け入れるかどうかを記すことが多い。約7割が作成に賛同する一方で、実際に書いている人は約3%にとどまっているという国の調査もある。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年10月31日 更新)

タグ: 高齢者医療・話題

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