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岡山大 前立腺がん共同研究 北京大にセンター開設

前立腺がんセンターが入る北京大首鋼病院。アジアにおける研究拠点を目指す(岡山大泌尿器科提供)

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の公文裕巳教授(泌尿器科)らは、中国・北京大と共同で北京市内に「前立腺がんセンター」を十一日に立ち上げる。両国で患者が急増する中、大規模な疫学調査や発症メカニズムの解明など共同プロジェクトを実施し、アジアにおける研究拠点を目指す。日本の大学が中国最高学府である北京大と共同で医療系センターをつくるのは初めて。

 センターは北京大付属の首鋼(しゅこう)病院内に開設。同病院の医師や看護師ら六人が常駐する。岡山大スタッフも定期的に訪問し、検診指導のほか、日本人と中国人の発がん遺伝子の違いなどを比較し発症過程を探る。将来的には岡山大が開発した新たな遺伝子治療の臨床試験を共同で行う計画。

 十一日に公文教授、岡山大病院(岡山市鹿田町)の遺伝子・細胞治療センターの賀来春紀医師が訪中。那彦群院長(中国泌尿器科学会理事長)らと開設式に臨む。

 岡山大泌尿器科は二〇〇一年三月、国内で初めて前立腺がんの遺伝子治療を実施。がんの免疫療法や細胞治療、患部に微細な放射線源カプセルを埋め込む「密封小線源内照射法」に取り組むなど、国内トップクラスの実績を誇る。

 北京大とは、一九九六年から交流を始め、定期的に学術会議を開催。今年七月には学術交流に関する協定を締結し、センター開設の準備を進めてきた。

 日本の前立腺がん患者は三十年間で約八倍に増え、年間約九千人が死亡。中国でも食生活の欧米化などから同様の傾向が見られる。

 公文教授は「二国間で診断と治療の標準化を図るとともに、新たな医療を創造し、アジアの人々に貢献したい」と話している。


ズーム

 北京大首鋼病院 北京大(1898年設立)の5付属病院の一つ。呼吸器内科、血液内科など28診療科と、脳血管病研究所、循環器センターなど複数の関連施設からなる。ベット数1006床、医師、職員計1247人。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年10月04日 更新)

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