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県立岡山病院が触法精神障害者治療へ 専門入院病棟を着工 中四国唯一 07年8月完成

触法精神障害者専門の入院病棟建設予定地=岡山市鹿田本町、県立岡山病院

 岡山県は、県立岡山病院(岡山市鹿田本町、精神・神経科)に、殺人や放火など重大な加害行為をした「触法精神障害者」を専門に治療する入院病棟を設けることを決め、建設工事をスタートさせた。来年8月の完成を目指す。都道府県立病院での新設は初めて。中四国地方でも唯一の専門病棟となる見通し。

 専門病棟は、精神障害があるために善悪の区別がつかないなど、通常の刑事責任が問えない心神喪失者らを対象に、必要な医療を確保して病状の改善を図り、社会復帰を促進するための施設。二〇〇五年七月施行の心神喪失者医療観察法に設置が盛り込まれた。

 専門病棟を設置できるのは、国、都道府県、独立行政法人。入院させるかどうかは、検察官による申し立てを受け、地方裁判所が決定する。厚生労働省は、法施行後三年間でベッド七百床確保を目指すが、八月末現在で国立か、国立を母体とする独立行政法人の八カ所(百七十五床)にとどまる。都道府県立病院での設置はない。

 一方で、法務省によると、同法施行以降、検察官からの申し立ては、七月末現在で三百五十五件あり、百六十件で入院決定の措置が取られた。年間の申し立て件数は、三百件程度と見込まれており、地裁の決定次第ではベッド不足が生じる可能性がある。病棟新設は全国的な課題だ。

 県立岡山病院で工事が進む新病棟は、現在の病院の東側部分に鉄筋四階(一部鉄骨)延べ約二千八百八十平方メートルの閉鎖型施設。一階に事務室、二、三階に診察室や病室を置く。四階には屋根のない広場がある。ベッド数三十三床(予備三床含む)で、すべて個室。総工費は約九億円。

 県立岡山病院は来年度から地方独立行政法人に移行。あわせて病院名も県精神科医療センターに改称する。四月一日現在の病床数は二百十六、職員は百三十五人。専門病棟が完成すれば、二百四十九床、百九十二人体制となる予定。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年10月18日 更新)

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