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発達障害児の親が集い 自助グループ結成へ一歩 井笠保健所企画 一人で悩まず仲間づくり

日ごろの悩みなどを話し合う発達障害児の保護者たち

 自閉症やアスペルガー症候群など発達障害の子をもつ多くの保護者が、周囲に相談できず悩みを抱えている状況を解消しようと、井笠保健所(笠岡市六番町)は本年度、保護者同士の情報交換や互いの悩みを相談できる「集い」を開いている。これをきっかけに、井笠地域の各地に保護者自身による自助グループを結成してもらうのが狙い。

 井笠保健所によると、井笠地域では知的障害児施設などを利用していない保護者が参加できる自助グループが少ないのが現状。このため同保健所は発達障害者支援法の施行(二〇〇五年四月)に伴い、有識者や井笠地域の保護者らとともに管内の障害者支援の在り方を考える検討会を〇五年度から開催。保護者から「自助グループが必要」とする声が相次ぎ、今年八月に検討会メンバーらを中心に十人で試験的に集いを開いた。

 好評だったため、その後も広く参加者を募り、十月十一日には笠岡市内で、十一月三十日には浅口市で開催、井笠地域の各地から二十~三十人が参加した。「子どもが夜寝てくれないので家族が疲れ切っている」「学校や教師によって障害への理解度が違いすぎる」などの悩みを打ち明けると、同じ経験をした参加者が「四、五歳になれば落ち着くよ」「学校に子どもの特徴や対処法を書いた『サポートブック』を提出するといい」などとアドバイス。二時間の会話の後、連絡先などを交換していた。

 日ごろ障害児の保護者同士で話す機会がないという浅口市のパート女性(34)は「同じ悩みを持つ人がたくさんいると分かり、ストレスが発散できた」。知的障害児施設の親の会に参加している井原市西江原町、大山百子さん(32)は「集いを機に、しんどい時に助け合う仲間をもっと増やしたいと思った」と話す。

 こうした取り組みが次第に実を結び、井原市では今月十二日に保護者による自助グループが発足する予定で、浅口市でも発足に向けた準備が進んでいる。

 井笠保健所は「もっと参加者を増やし、多くの保護者の悩みやニーズを聞き、自助グループの結成や活動を支援したい。本年度中に井笠地域の全市町をカバーできるよう働き掛けたい」と話している。

ズーム

 発達障害 先天的な脳機能の障害で、対人関係の構築やコミュニケーションに障害がある自閉症、注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)などが含まれる。高機能自閉症など知的障害の合併がない場合は軽度発達障害と呼ばれ、障害が見過ごされていることも多い。発達障害者支援法には早期発見や適切な支援の重要性が盛り込まれている。文部科学省の調査によると、普通学級の子ども6・3%が発達障害児である可能性が指摘されている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年12月06日 更新)

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