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祖父母へ「良好3世代」の助けに 岡山の院長ら「育孫書」を改訂

「祖父母と父母が良い関係を築いてほしい」と話す山縣院長(右)と中山医師

祖父母の本音を収録し改訂された「孫育ての時間」

 岡山市で産婦人科クリニックを開く山縣威日(たけひ)院長とスタッフが、祖父母向けの育児書「孫育ての時間(とき)―祖父母に贈るはじめての育孫書」の改訂版を発刊した。新たに祖父母の“本音”を収録。孫を健やかに育てるために欠かせない「(孫を含めた)3世代の良好な関係づくり」のため、相互理解を深める助けになりそうだ。

 初版は2003年、子育てから30年ほど過ぎたおじいちゃん、おばあちゃんに、育児の最新知識と、若い父母の支え方を知ってもらおうと、山縣院長と中山真由美医師、助産師、保健師が執筆した。当時、とらえ方に差が大きかった母乳育児をはじめ、離乳食、抱っこの仕方などをイラストを交えて解説。妊婦や母親の「祖父母に言われてうれしかったこと、嫌だったこと」「これだけはやめてほしいこと」など生の声も入れた。

 改訂版を出した理由について、中山医師は「祖父母と母親の関係の変化」を挙げる。十数年前は、子育てを経験した祖父母側に主導権のある家庭が多かったが、今はママ友、インターネットなどから知識を得られるようになった母親側の発言権が強くなった。「以前より祖父母が遠慮している面も見られる。互いの気持ちを知り、良い関係を築くきっかけにしてほしかった」という。

 祖父母の本音は、同クリニックが年2回程度開催している「孫育てセミナー」の参加者約70人にアンケートした。言われて嫌だったのは「『昔はそうだったんだろうけれど…』の言葉」「『手伝うのが当たり前』のような顔での頼みごと」など。一方、うれしかったのは「いつも『ありがとう』の言葉がある」「誕生会などの行事への誘い」などで、言葉遣いやちょっとした気遣いの大切さに気づかせてくれる。

 山縣院長、中山医師は「細かな部分での行き違いがあっても、良好な関係があれば乗り越えられる。思いやりと感謝の心を持ちながら、上手にコミュニケーションをとってほしい」と話している。

 1728円。岡山県内の主要書店で販売している。問い合わせは吉備人出版(086―235―3456)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年02月04日 更新)

タグ: 高齢者医療・話題

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