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骨髄バンク目標30万人間近も 応諾率は50%どまり 登録開始15年 支援の会「協力を」

ドナー登録会で協力を呼び掛ける岡山・骨髄バンクを支援する会のメンバー=2005年10月、倉敷市

 骨髄移植推進財団(骨髄バンク、本部東京)が、白血病患者に対する骨髄移植のドナー(提供者)登録を始めて来年1月、15年を迎える。登録者は全国で順調に増え、来年度中にも目標の30万人を達成する見通しだ。だが、移植に適合する患者がいても提供に至らないケースも多く、同バンクや支援団体が一層の協力を呼び掛けている。

 「移植を待ち続ける多くの患者を救うことが夫の願いだと感じた。だから県内第一号として登録した」。岡山・骨髄バンクを支援する会代表の原田早苗さん(53)=岡山市郡=は言う。一九九四年に夫・太八さん=当時(43)=を慢性骨髄性白血病で亡くした。

CMなどに共感

 ドナー登録が始まったのは九二年一月。骨髄移植への理解は徐々に深まり、現在全国で約二十六万四千人(岡山五千三百九十人)に上る。

 新規登録は年間一万六千―一万七千人で推移してきたが、近年の伸びが顕著。二〇〇五年は三万九千人、〇六年も十月末現在で三万八千人と九五年の三倍を超える。岡山でも毎年四百人程度増えているという。

 背景には、急性白血病で亡くなった歌手本田美奈子さんのテレビコマーシャルや、白血病を扱った小説「世界の中心で、愛を叫ぶ」「半落ち」などのヒットがあると同バンクは分析。〇五年三月に登録要件を「二十―五十歳」から「十八―五十四歳」に広げ、登録の際の家族の同意を不要とした効果もあったとみている。

面接や検査必要

 一方で、登録者が移植に最終的に同意する「応諾率」は50%前後にとどまる。適合患者が見つかったにもかかわらず骨髄提供を断った例は、〇六年四月―九月で約一万人を数えた。

 実際に提供する際にはコーディネーターとの面接、詳細な血液検査などが必要だが、これらの時間的な都合がつかなかったり、健康上の理由や妊娠・出産で断念することが多い。

 提供要件となっている「家族の同意」がネックとなるケースも。全身麻酔で行われる骨髄液採取の身体的負担を家族が心配して承諾しないことがあるという。

救えるはずの命

 岡山県内では、支援する会が講演会を開いて理解を求めたり、年十回程度、献血会場で登録を呼び掛ける。来年一月二十一日にもイオン倉敷ショッピングセンター(倉敷市水江)で登録会を開催予定。原田さんは「救えるはずの命を一人でも多く救いたい」と話す。

 登録開始から今年十月末までに、七千八百十五人の白血病患者(うち岡山百八十三人)に骨髄が提供された。だが、いまだ三千二百人の患者(同二十四人)が骨髄バンクに登録し、移植を待っている。

 同バンクの木村成雄事務局長は「ドナー登録者を増やし、提供の応諾率を上げることが不可欠。支援する会を通じ協力を求めたい」としている。


ズーム

 白血病 血液の細胞が腫瘍化し、骨髄や血液の中で増殖する血液のがん。骨髄移植はドナーから採取した骨髄液を患者の静脈に注入、健康な血液をつくる機能を回復させる。提供者と患者のHLA(白血球の型)が一致しなければ移植はできず、確率は、きょうだい間で四分の一、非血縁者間では数百から数万分の一とされる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年12月18日 更新)

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