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介護事故とヒヤリ、ハット事例月12回 岡山県内68老健施設平均 オンブズ調査

三カ月間の介護事故・ヒヤリハット件数(グラフ)

 岡山県内の老人保健施設で、介護事故と事故につながりかねない「ヒヤリ」「ハット」事例が合わせて月平約十二回起こっていたことが、医師や弁護士らでつくる市民団体「福祉オンブズおかやま」(奥津亘代表)の調査で分かった。事故が起きた際、現場にいた職員が、当事者や家族への説明に立ち合わない施設も三割を超えていた。

 同団体が昨年三月、県内の全七十一施設に対し、結果公表を前提にアンケート。六十八施設が回答し、回収率は95・7%だった。

 質問は、ヒヤリ・ハット事例を骨折や脱きゅうなどの介護事故の中に含めて、直近三カ月間の件数を聞いた。六十七施設で二三七八・五件あり、平均は三五・五件。ヒヤリ・ハット事例の含め方が各施設で異なるが、最も多い施設では三カ月で百八十七件あった。

 介護職員の実態の質問では、二十五施設で勤続三年未満の職員が五割を超えており、経験の浅い職員が多い。初任基本給については六十五施設が回答、平均は月額十四万九千四百二十一円だった。

 福祉オンブズおかやまは「安い給料で士気が上がらず、職場への定着率が低いことが介護事故やヒヤリ・ハット発生の要因では。事故現場にいた職員を家族らへの説明に出席させないのも、透明性の点で問題だ」と指摘している。

 このほか、一週間の入浴回数、食事調査の実施回数、保険適用外の利用料なども聞いた。県などへの情報開示請求で入手した二〇〇四、〇五年度の指導文書による指摘事項も合わせ、「あなたが選ぶ介護老人保健施設岡山県版」とのタイトルで冊子にし、書店でも販売している。A4判百八十四ページ。千二百円(税別)。

 問い合わせは、福祉オンブズおかやま(086―805―1124)。

ズーム

 老人保健施設 病状がほぼ安定して入院する必要はないが、家庭で自立して生活するには不安を抱えている高齢者に、自宅療養できるまでのリハビリテーションなどを提供する施設。日常生活で常に介護が必要な高齢者が入所する「特別養護老人ホーム」、病気を抱えた長期療養者のための「介護型療養病床」とともに介護保険3施設と呼ばれる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年01月11日 更新)

タグ: 健康介護医療・話題

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