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発達障害支援に手応え 尾道・高須小 広島県内唯一の「通級指導教室」 個々に合わせ授業工夫

尾道市立高須小に設けられた通級指導教室

 尾道市立高須小(同市高須町)は二〇〇六年度、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)など発達障害の児童を対象とした専門の通級指導教室を広島県内で唯一開設。児童個々の障害に応じて授業を工夫し、周囲も積極的に声掛け。〇七年度から始まる特別支援教育への対応を進めている。

 特別支援教育は、学校教育法の一部改定などにより、障害の種類を超えて行われる障害児教育の新しい呼び方。LD、ADHD、高機能自閉症なども支援対象に加わる。

 同小は県教委から教員の加配を受け通級指導教室を昨年四月開設。市内児童六人が、必要な時間分だけ、普段在籍するクラスを離れて授業を受けている。

 授業を担当する上住谷恒子教諭は、各児童の障害の状態に合わせて声の掛け方や板書の方法を工夫。それぞれ苦手なことや生活の様子をまとめた「オーダーメードマニュアル」を作成し、月一度のプロジェクト会議で他の教諭に日常の接し方などを伝える。「私はネットワークづくりを発信する役割。通級児童を大切にする声掛けは、校内のほかの児童にも伝わり、互いが助け合うようになった」と手応えを話す。

 通級に加え同市は、市内の小児科医や言語聴覚士、学識経験者ら専門家十九人を集めた独自の「市特別支援教育推進委員会」を〇五年十一月スタート。巡回相談などで学校側の悩みに対応するとともに、保護者からも直接、教育相談を受け付ける体制を整えた。

 小児科医の宇根幸治委員長は「LD、ADHDなどは就学前に発見が可能。今後は五歳児検診の実施などで、より早期から学校や家庭で対応できる仕組みを整えたい」と支援充実を訴える。

 通級に子どもを通わせている保護者(42)は「障害についての情報は少なく、親として認めたくないこともあるが、知らなければ対応のしようがない。親が悩んだとき、支援のバックボーンがあることは大切」と強調。「学校に通級があることで子どもは自分のペースを取り戻すことができ、担任以外の先生も子どもを見守ってくれる。ありがたい」と話す。

 県は特別支援教育について〇三年度からモデル事業や巡回相談を推進。〇六年九月現在、県内すべての小、中約九百校で特別支援教育コーディネーターの指名と教員が問題を話し合う校内委員会の設置を終了。県独自の巡回相談を〇六年度に年間三百七十回予定し、移行準備を進めている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年01月18日 更新)

タグ: 福祉子供医療・話題

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