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延命治療中止 合意重視の声多数 解説・終末期医療調査 指針づくりへ議論を

 国立病院機構本部中国四国ブロックによる医療関係者の終末期医療に関する調査では、延命治療の中止について、本人や家族の意思、施設スタッフらの合意を重視する声が多数を占めた。

 患者に薬物を注射し死亡させた東海大病院事件の判決(一九九五年)は、治療中止が容認される要件の一つに、家族からの推定を含め本人の意思を挙げ、以後の司法判断などのモデルになった。今回の調査結果も、こうした流れの上にあるといえよう。

 また、富山県の射水市民病院で発覚した人工呼吸器外しで、外科部長が複数の医師や倫理委員会に相談せずに治療を中止したことが問われたことが、今回の回答にも影響したとみられる。

 脳死を「人の死」と肯定しない回答が過半数を占めたことも注目される。臓器移植法の施行(九七年)から十年目を迎えた今も、医療現場でとらえ方が揺れている表れといえるだろう。

 国は終末期医療の指針づくりを進めている段階で、国内では現在、延命治療に関する判断基準や手続きに明確なルールはない。だれもが迎える「人生の最期」に向け、幅広く、徹底した議論が求められる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年01月26日 更新)

タグ: 医療・話題

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