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筋ジスの症状改善 砂田川崎医科大教授ら薬試作 マウス実験 筋肉量1.5倍に

砂田芳秀教授

 川崎医科大の砂田芳秀教授(神経内科)らの研究グループは十三日までに、筋肉が委縮し歩行障害などが起きる筋ジストロフィーの症状改善を図る薬を試作。発症させたマウスで調べたところ、筋肉量が一・五倍程度に増えるなど効果が確認できた。

 筋ジストロフィーは遺伝子異常が原因とされ、根治療法はまだ見つかっていない。筋肉にはマイオスタチンという分子があり、筋肉量減少を促す作用を持つ。通常は、マイオスタチン分子に別のタンパク質が結合することなどで減少作用は働かず、筋肉量は適度に保たれている。

 しかし、筋ジストロフィーでは、この結合が外れるなどの理由で筋肉の委縮が起きる。研究グループは、同分子の減少作用を抑えれば逆に筋肉量を回復させられるのではと考え、筋肉量維持と関係するタンパク質を取り出して同分子と結合する薬を作った。

 筋ジストロフィーのマウス三匹に薬を注射。前足(上腕三頭筋)と後ろ足(大腿(たい)四頭筋)の筋肉量の平均を調べると、前足六五ミリグラム、後ろ足は八〇ミリグラムだった。与えなかったマウス三匹の筋肉量の平均(前足四二ミリグラム、後ろ足五五ミリグラム)と比べると、それぞれ一・五倍程度増えた。

 また、特殊な計器でマウスの筋力(前足)を調べた結果、薬を与えたマウスの二五〇ミリグラム重に対して、与えなかったマウスは二二〇ミリグラム重にとどまり、筋力についても改善傾向を示した。

 研究グループは昨年十一月、米医学研究誌で報告した。砂田教授は「人間に応用するには安全性の確立が課題。加齢で筋肉がやせ衰えた高齢者など、筋ジストロフィー患者以外にも応用できるのでは」と話している。 


型問わず効果期待

 筋ジストロフィーに詳しい清水輝夫・帝京大医学部教授の話 筋肉の委縮とその抑制との関係に着目した点がポイント。改善薬の研究はほかにもあるが、砂田教授が研究した薬は複数存在する筋ジストロフィーのタイプを問わず効果が期待でき、最も有力ではないか。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年04月14日 更新)

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