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床ずれ緩和の介護用ベッド システム試作 岡山県立大・森將晏教授 動き細かく調整可能に

アームと回転軸で体に合わせた動きができる森教授の試作ベッド

森將晏教授

 岡山県立大保健福祉学部の森將晏(まさはる)教授(60)が、介護用ベッドの床ずれや圧迫感を大幅に緩和するシステムを開発、実用化に向けてメーカーと共同研究している。体を起こす際の上体の動きに合わせ、ベッドの動きを細かく調整できるのが特長。介護保険法の改正で商品化には課題も多いが、介護現場では身近で切実な問題だけに今後の展開が注目される。

 介護用ベッドは通常、体を起こすとともに上方に伸びる体の動きとベッドの動きが正確に連動しない。このため、体とベッドの間にずれや圧迫感が生じて苦痛を伴ったり褥瘡(じょくそう)(床ずれ)ができやすい。

 森教授は、体圧分布図で体の各個所にかかる圧力を調査。寝た位置、腰(骨盤)の大きさ、マットレスの厚さなどによって変化する負荷やずれが最も小さくなるパターンをデータ化した。

 その動きを実現するため、ベッドの背板を上半身と下半身で分離し、アームと回転軸で動きを調整。起き上がる時、上半身の背板のアームが伸び、回転軸で背板の角度を自由に変えられるようにした。

 これにより、背上げ後のずれ幅が五ミリと、通常の介護用ベッドより四センチ以上少なくなり、背中にかかる圧力も三分の二に抑えられるようになったという。

 森教授は、倉敷市内の設計会社に依頼して二〇〇三年に試作機を製作、ベッドメーカーから助成を受けて改良を重ねた。現在は、ひざ上げ機能を加えて、おしりへの負荷を小さくした四号機まで作っている。

 ただ、昨年の介護保険法改正で、軽度者の介護用ベッドのレンタルが保険給付の対象外に。今年四月から医師の判断などを条件に給付が認められることになったが、メーカー側は慎重な姿勢で、商品化のめどは今のところ立っていないという。

 森教授は「今は角度の調整などは手動だが、将来はコンピューターで自動調整することも可能。ただ、それにはベッド作りのノウハウや開発資金が必要なのだが…」と支援に期待を寄せている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年05月02日 更新)

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