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高梁の福祉NPO 障害児の生活支援 「color」事業開始1年 保護者交流の場にも

「みずたま」で児童デイサービスを利用する子ども。日常生活に必要なコミュニケーション技術などを身につける

 障害のある人の地域生活支援へ向け、高梁市内初の福祉サービスを提供するNPO法人として昨年設立された「color(カラー)」(同市南町、行藤路代理事長)の事業開始から一年がたった。児童デイサービスなどを通じて障害のある子どもの育ちを手助けするとともに、保護者同士が安心できる場として定着しつつある。

 高梁市街地の一角、古びた二階建ての建物に、子どもたちの元気な声が響く。colorが運営する児童デイサービス事業所「みずたま」だ。障害のある子どもらが職員やボランティアとの遊びや作業を通じ、生活の場面で必要なコミュニケーション技術などを学んでいる。

 colorは総社市で知的障害者のグループホーム運営に携わってきた行藤理事長らが昨年二月に立ち上げ、昨年五月から事業を始めた。メンバーの「障害のある人が生まれ育った地域で、安心して暮らし続けられるよう支援したい」との思いからだった。

 職員は三人。当初は問い合わせなども少なかったが、秋ごろから次第に増え、現在は高梁、新見市の二歳から高校三年生までの十六人が利用。自閉症や水頭症など子どもの障害の種類や程度はさまざまだ。

対話が可能に

 事業の柱は、高梁市の委託で取り組む児童デイサービスと日中一時支援。デイサービスでは子どもを対象に小集団や個別の療育などを通じ、日常生活の基本動作体得や集団生活への適応を促す。

 昨年六月から週一回、デイサービスに通っている物部怜児君(平川小四年)は、対人コミュニケーションが難しい自閉症だが、絵カードで自分の意志を示す方法を習得。対話が可能になったことで、行動にも落ち着きが出てきているという。

 もう一つの事業の柱である「日中一時支援」は保護者が介護できない場合、子どもを一時的に預かるサービス。レクリエーションや近所の店での買い物、公園への散歩のほか、料理を楽しむ日もある。周囲への遠慮などから、福祉サービス利用にちゅうちょする保護者も少なくない―とされるが、行藤理事長は「(事業開始から)一年が過ぎ、急な用事などの際、気軽に利用する保護者も増えてきている」と分析する。

地域の一員へ

 子どもの発達支援とともに、colorは保護者の交流の場にもなっている。怜児君の母親の文江さん(37)は「同じ立場の親同士だけに、悩みを分かち合うことができる。気軽な情報交換の場としても欠かせない」と話す。保護者らの障害への理解を深めるために、専門家を招いた講習会なども開いている。

 事業開始当初は近所から「大変だね」と声を掛けられたが、職員の間には徐々に「地域社会の一員として受け入れられている」との実感も出てきたという。行藤理事長は「地域での豊かな暮らしにもつながる、障害の早期療育の大切さを呼び掛けたい」と話す。問い合わせはcolor(0866(22)3611)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年05月31日 更新)

タグ: 福祉子供医療・話題

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