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発達障害児→保育計画柔軟に 病児→重要な感染症対策 倉敷で子育て親育ちフォーラム 保育者に必要な専門性は

発達障害児や病児への支援の点から、保育者の育成と課題について議論を深める研究者と実践者

2006年度公立幼稚園、小学校、中学校、高校におけるLD、ADHD、高機能自閉症の教育支援体制(抜粋)(表)

 第三回子育て親育ちフォーラム・地域大学間連携シンポジウム(岡山大教員養成GP主催)が、倉敷市松島の川崎医療短大で開かれた。「医療の専門性をもつ保育者の育成と課題」と題し、発達障害児や病児とかかわる研究者、実践者が報告。保育者(保育士、幼稚園教諭)に求められる専門性の議論を深めた。

 コーディネーターの中原朋生・同短大医療保育科准教授が「現場では発達障害児、感染症にデリケートな乳児、病気を患う子どもへの保育など、医療の専門性を必要とする場面が多くなっているのではないか」と提起。

 国立特別支援教育総合研究所(神奈川県)の笹森洋樹総括研究員は、国の流れを説明。障害の程度に応じて特別の場で行うこれまでの「特殊教育」から、障害のある子ども一人一人のニーズに添って支援する「特別支援教育」へ移行している、とした。

 支援の基本的な姿勢に、自尊感情に配慮▽友人から孤立させない▽安心できる人と場所を確保―などを提示。保育者が対応に行き詰まったとき、「自分の指導力不足」と考えて抱え込まないように呼び掛け、「同僚らに相談するのは指導力を高めることにつながる」と強調した。

 さらに、文部科学省の調査=表=も示し、全国公立幼稚園の六割近くが特別支援教育の教員研修を受講している状況に言及。「配慮の必要な子どもへの支援は、すべての子どもに分かりやすく、参加しやすい活動を工夫することになる」と、支援における多面的な見方の必要性を訴えた。

 続いて、実践の立場から、東広島サムエル保育園の津川典子・子育て支援センター長が発言。「発達障害児と向き合う保育者が『自分には対応できない』との思いにとらわれていることがある」と現場の声を報告。「とらわれ」から解放されるために、保育者が自らを冷静に省みたり、保育計画を柔軟に組み替える創造性を養う大切さを挙げた。


   ■   ■

 病児への保育では、川崎医療短大医療保育科の寺田喜平教授が、感染症対策などの重要性に触れた。はしかや風しんの感染力(免疫のない状態で周囲の何人に感染できるか)を、はしかは十六~二十一人(空気感染)、風しんは七~九人(飛まつ感染)とし、「子ども同士や大人(保育者や親)同士、子どもと大人の感染経路に注意を」と話した。

 兵庫県立こども病院病棟保育士の中村直子さんは病院の概要を、入院中の子どもは約二百五十人、保育士は四人いると紹介。「保育士は看護師らとの会議を通して、子どもが病気や治療によってどういう症状になるのかを把握した上で、提供する遊び内容を考えている」と様子を語った。

 そして、子どもにとって病棟保育士は「痛いことをしない存在」であり、「保育士と一緒に過ごすことでリラックスし、治療や生活への意欲を持つ」とした。

 二〇〇六年度こども未来財団の調べで、病棟保育士は全国に千三百六十三人いる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年06月29日 更新)

タグ: 福祉子供医療・話題

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