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療養病床「転換」は3割 国目標と隔たり 岡山県が医療機関意向調査

医療機関の転換意向(グラフ)

 岡山県がまとめた県内医療機関の意向調査結果で、国が約6割の大幅削減方針を示している療養病床について介護、医療型を含め、現時点では約3割しか転換を希望していないことが分かった。県は調査結果を基に、本年度中に療養病床再編計画を策定するが、国の目標とは大きな隔たりがあり、削減へのさらなる調整が必至の情勢だ。

 調査した八月一日現在、県内の療養病床は医療型、介護型を合わせて五千五百六床。このうち療養病床として残したいとしたのは二千八百五十五床に上り、「未定」とした八百四十五床も、県は「療養病床として残る割合が高い」とみている。国の削減目標をそのまま当てはめれば、県内の療養病床は二千五百床程度にしなくてはならず、大幅に上回っている。

 内訳を見ると、全廃となる介護型は千三百五十二床あり、回答した25・2%の三百三十六床が医療型療養病床として残ることを希望した。転換先として最も多かったのは老人保健施設の七百五十四床(56・5%)で、一般病床百九床(8・2%)、特別養護老人ホーム二十九床(2・2%)などが続く。未定は八十六床(6・4%)。

 医療型は四千百五十四床。二千五百十九床(61・2%)が療養病床として残りたいとした。老人保健施設への転換を希望したのは五百九十七床(14・5%)。未定も七百五十九床(18・4%)と多かった。

 転換先として老人保健施設が多かったことについて、県長寿社会対策課は「利用者のニーズが高いのに加え、療養病床より医師や看護師らの配置基準が厳しくなく、転換しやすいため」とする。

 県は、調査結果を尊重しながら、本年度中に療養病床再編計画となる「地域ケア整備構想」を策定する。素案を十九日の「介護保険制度推進委員会」で示す予定だ。

 同課は「未定とした医療機関が多かったので、今後さらなる調整が必要だが、利用者に十分配慮した構想をつくりたい」としている。

 調査は、療養病床を持つ病院、診療所の計百四十四カ所のうち、百三十九カ所が回答した。病床数ベースでの回答率は99・0%。


ズーム

 療養病床 医療機関の病床(ベッド)は、病気の種類により一般病床、療養病床、精神病床、感染症病床、結核病床に分かれる。医療スタッフの人数や設備の基準、診療報酬の仕組みが違う。療養病床は、慢性の病気を抱え、長期療養が必要な患者のための病床。介護保険を使う介護型と、医療保険の医療型とに分けられるが、提供されるサービスに大きな違いはない。医療費抑制などを狙いに国は、療養病床38万床(2005年度末)のうち、11年度までに介護型13万床を全廃、医療型は25万床を15万床に削減する方針。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年10月19日 更新)

タグ: 介護医療・話題

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