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肺がん 抗がん剤効果、遺伝子で判断 岡山大・豊岡助教らグループ 「効かない人」の負担軽減

豊岡伸一助教

 がん細胞遺伝子の変異の有無によって、肺がん抗がん剤UFT(一般名テガフール・ウラシル)の効果に違いがあることを岡山大大学院腫瘍(よう)・胸部外科の豊岡伸一助教(38)らのグループが確認した。抗がん剤治療はその効果を予測しにくいため、薬に適した患者を事前に絞り込め、効かない人への余分な負担も緩和できる成果として注目されている。

 UFTは、肺がん手術後の補助的治療に幅広く使われている飲み薬。しかし、長期間飲み続けることで患者には高額な医療費や副作用など負担も少なくない。

 豊岡助教らは、がん遺伝子「EGFR」の変異の有無に着目して、岡山大病院で手術した肺腺がんの患者百八十七人を調査。治療効果の指標となる五年生存率が、変異のない人(百八人)では、UFTを投与した場合81%だったのに対し、UFTの投与なしでは65・4%と大きな差があった。だが、変異がある人(七十九人)はほとんど差がなかった。

 さらに、ヒトの肺がん細胞にUFTの主成分を加えて増殖の様子を調査。がん細胞の大きさを抑えるのに必要な薬剤量が、「変異なし」に対して「変異あり」は三倍以上必要で、薬の効きが悪いことを証明した。

 これらの成果を米医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジーに発表した豊岡助教は「手術後の治療方法を選択する際の一つの指標になり、効かない人への長期投与を避けられる」と話している。


個別化治療に弾み

 貫和敏博東北大教授(呼吸器病学)の話 一般的に抗がん剤の治療は誰に効いて誰に効かないか事前には分からない。今回新たな指標を証明したことは、患者に応じた個別化治療を推進する上で大きな弾みになる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年12月12日 更新)

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