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心房中隔欠損症 カテーテル治療普及へ 赤木准教授(岡大病院)ら研究会

赤木禎治准教授

 心臓内部の壁に穴があく先天性の「心房中隔欠損症」で、患者への負担が少ないカテーテル治療を進めている岡山大病院の赤木禎治准教授(循環器疾患治療部)らは、不整脈や狭心症などの合併症で症状が悪化する大人の患者に治療を普及させるため、全国組織の研究会を発足させた。

 心房中隔欠損症は、心臓内を仕切る壁の穴から血液が漏れて肺に流れる血液が増加する病気で、国内では千五百人に一人の割合で発生。だが、カテーテル治療を行う全国十八施設の多くが小児科で、実際に症状が現れる四十代以上が受診する循環器内科の医師の間ではあまり知られていないという。

 赤木准教授と榊原記念病院(東京)の高山守正循環器内科部長を発起人に、昨年十二月八日に東京で第一回の研究会を開催。成人での治療実績を検討するとともに、循環器内科医らに情報を提供する。

 治療は、太ももの付け根からカテーテルを挿入し、血管を通して心臓に送り込んだ後、先端の閉鎖栓を傘状に開き、穴を両側からふさぐ。心臓を一時的に止めて行う外科手術より患者の負担を大幅に減らせ、入院期間も四、五日で済む。

 二〇〇五年七月から同治療を始めた岡山大では患者百三十七人のうち62%が成人、34%が四十歳以上。長期入院やリハビリが必要な外科手術には、大人の方がかえって抵抗感が強く、診断されていても未治療のままの人が多かったという。

 赤木准教授は「治療をあきらめている人に手術以外の選択肢があることを知ってほしい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年01月06日 更新)

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